鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第8章 :少女の初陣〜壁外調査:中編〜
〜壁外調査:2日目〜
「今日の任務もやはり、ミケの班が1番早いな。」
エルヴィンは2日目の合流場所である古城で、ミケと辺りの様子を窺っていた。
「あぁ、リンのおかげでな。」
「そうか。リンには何か、褒美を用意するべきかもな。」
エルヴィンはフッと笑う。
「大きなケーキ1つでも買えば、それだけで彼女は喜びますよ。」
全ての任務が終わり、報告に来たナナバも話に加わる。
「ミケ、私達の仕事は終わったから…医療班や他の班の応援に行こうと思うんだけど。」
「分かった。リンはどうした?」
「彼女は今回もまた、煙弾の元に向かったよ。」
煙弾が上がったと思われる、煙の行方を目で追う。
「リン1人に任せて、大丈夫か?」
「大丈夫だよ!リヴァイも向かったみたいだから。」
「そうか…では問題ないな。」
3人はそれぞれの持ち場へ戻って行った。
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(どうしよう…)
辺りに巨人はいないが、馬も仲間もいない。
女兵士は屋根の上で途方に暮れていた。
兵站拠点を設営した後、突然巨人に襲われ…仲間とはぐれてしまった。
巨人は仲間が引きつけてくれたが、生死は不明。
自分の命も危うい状態だ。
(馬は呼んでも来ない、仲間もいない…どうすればいいの?こんな時にもし、巨人が来たら…)
ドスンドスンドスン…
突然地響きが聞こえる。
恐れていた事が起きた。
約15m級の巨人が1体、こちらに向かって来る。
こちらにはまだ気付かれていない。
だが確実に足音は近付いて来る。
女兵士は震える足を懸命に動かし、屋根から下へ降りた。
そしてその家の中へ隠れ、巨人の足音に耳を傾ける。
(奴らに嗅覚はないはず!ここに静かに隠れていれば、きっと大丈夫…)
息を殺し足音が遠ざかるのを待つ。
しかし気付けば足音は、増えている。
(嘘…でしょ?あんなのが複数体もいたら、絶対に逃げ切れない!)