鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第1章 :絶望の地に、美少女舞い降りる
カフェを出たナナバとゲルガーは、調査兵団の兵舎前にリンを連れて来て立ち止まった。
「ようこそ!調査兵団へ」
『えっ?!ここ…調査兵団なの?』
「ん?あぁ言わなかったっけ?私達は調査兵団の兵士なんだよ。」
『聞いてない!調査兵団って…あの目付き悪い、チビがいる所でしょう?!』
[ライキ、何で教えてくれなかったのよ〜!!]
[行けば分かると言った…]
※[]は守護獣と頭の中での会話
「目付き悪いチビ…フフフフ、アハハハ!!」
ナナバは突然笑い出す。
「お前今の言葉…あの人が聞いたら、削がれるぞ!」
『私…帰る!!』
「あ〜待って待って!彼は今エルヴィンと一緒に、内地に行ってるから留守だよ。せっかくここまで来たんだし、ご飯くらい食べて行きなよ。」
ナナバは踵を返すリンの前に立ち、引き止める。
『ご飯…』
「まぁいつものスープなんだけどね。」
『分かった…』
リンは渋々頷き、3人は食堂に向かったのだった。
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真っ白いワンピースの美少女が突然食堂に現れ、食堂は騒めき出す。
何となく気まずさを感じたリンは、食堂の端へ足を進め座った。
ナナバは自分とリンの分の食事をトレイに乗せ、テーブルに置き座る。
ナナバの横にゲルガーが座り、いつものようにスープを啜る。
『味…全然しないね。』
スープを口にしたリンが呟く。
「うん、ごめんね。調味料や香辛料は高くてね…いつもこんな感じなんだ。」
『高い?別に普通に手に入ると思うけど。』
「うちの兵団は常に資金不足でね…食料や調味料に、中々お金を回せないんだよ。」
『ふ〜ん、そうなんだ。…良かったら、私作ろうか?』
「えっ?君、作れるの?」
『うん。このスープを改良していいなら、出来ると思う。』
「じゃあ、お願いしてもいいかな?」
『いいよ!』
リンは立ち上がり…自分・ナナバ・ゲルガーのスープをトレイに乗せ、厨房に向かう。
そして小さな鍋に、3人分のスープを入れ温め直す。
その中にリンは何やら調味料を入れ、味見をしてからそれぞれ皿に盛り直した。