鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第8章 :少女の初陣〜壁外調査:中編〜
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ピキピキピキ…
骨が軋む音がする。
ポキポキポキ…
次々と骨が折れていく音がする。
巨人に掴まれた瞬間…すぐ痛みと恐怖が自身を襲った。
股にじんわりと温かな違和感を覚え、自分が失禁した事に気付く。
怖い怖い怖い怖い…
死にたくない死にたくない死にたくない…
人の命を握りながらニタニタ笑う、この気持ち悪い巨人の口の中で私は死ぬのか?
お父さんお母さん…生きて帰れなくて、ごめんなさい。
遺書は出発前に書いて来た。
きっと同郷のオルオが、届けてくれるはず…
もう痛みは感じない。
既に恐怖も分からなくなって来た。
ただ激しい後悔だけが残る。
やっと憧れのリヴァイ兵長に認めて貰い、念願の【リヴァイ班】に入れたのに…何も成し遂げられず、こんな所で自分は死ぬのか?
兵長ごめんなさい…
私は役立たずでした。
憧れの貴方に追いつきたくて、調査兵団に入ったのに…役立たずのまま私は死ぬようです。
もっと一緒に戦って、貴方のお役に立ちたかった。
色んな事を教えて欲しかった…
そしてふと…出発前に緊張した自分を笑顔にしてくれた、小柄な少女を思い出す。
彼女の噂は聞いていた。
幹部の方々とも物怖じせず話し、あのリヴァイ兵長に堂々と文句を言える少女がいると。
壁外調査で無事帰還したら、声をかけてみようと思っていたのに…彼女の方から声をかけてくれた。
可愛いお菓子も貰って、せっかく仲良くなれそうだったのに…
もっと色々話したかった。
仲良くなりたかった…
『一緒に頑張ろうね!』
少女の声がこだまする。
私は何か頑張った?
何か成し遂げた?
まだ何もしていないのに、こんな所で生きる事も諦めるの?
【壁外調査は、生きて帰って初めて一人前】
調査兵団の通説を思い出す。