鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第7章 :壁外調査〜幕間❶〜
〈 エルヴィンの場合 〉
コンコン
「入れ。」
入室許可をすると1人の少女が入って来る。
白いワンピースに【自由の翼】が付いた、ジャケットを着ている。
その後ろにいる大人2人の姿は、まだ見えない。
「リン!明後日着て行く、兵団ジャケットが出来上がったんだね。凄く、似合ってるよ!」
エルヴィンはいつものように笑顔で少女を見つめ、壁外調査の服装について話した事を思い出していた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
「そういえばリンは、壁外調査で何着るの?いつもの白いワンピースは止めた方がいいよ?可愛いけど…裾とか邪魔になって危険だし。」
『そうだよね〜何着ようかな?』
「リンは兵士じゃないから、兵団の制服を着る必要はないけど…ジャケットはお揃いで着れたらいいよね〜!」
「それは私も考えていた。だからリンのサイズで作らせようと思う。」
「そうだったんだ〜それいいね、エルヴィン!早速サイズ測って、注文しよう!あっでも…リヴァイとサイズ一緒でいいかな?」
「てめぇ…」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
エルヴィンは笑顔で立ち上がり、いつものように頭を撫でようと近付いて行く。
するとリンはピシッと敬礼し、声を上げる。
『ありがとうございます!エルヴィン団長!』
エルヴィンは笑顔のまま固まった。
全く微動だにしない。
その瞬間リンの後ろから、ニヤニヤしたハンジとリヴァイが出て来てエルヴィンを見ていた。
「ハンジ…お前の策略か?」
エルヴィンの表情は変わらず、横目でハンジを見たが…目は全く笑ってない。
「違うよ〜リヴァイだよ!私だって同じ事されたんだからね〜。」
「そうか…この忙しい時に2人揃って、私の事を笑いに来たという訳か?」
微妙な空気の中…リンは3人の前でクルリと回り、背中の紋章を見せた。
その瞬間、ワンピースの裾がふわりと舞う。
『見て、エルヴィン!これで私も、みんなとお揃いだね!』
3人は嬉しそうに、可愛らしく笑うリンに癒される。
そしてやっと動いたエルヴィンがリンに近付き、いつものように優しく頭を撫でた。
「あぁそうだな、お揃いで嬉しいよ。」
『うん!壁外調査、頑張るね!』
そうしてその騒ぎは収束したのだった。