鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第7章 :壁外調査〜幕間❶〜
〈 リヴァイの場合 〉
(あっ…リヴァイ!)
何枚か書類を持ち、誰かを探してるリヴァイは…いつもより眉間の皺が深い。
リンはいつものように、後ろからソロリと近付いたが…飛び付く前に躊躇する。
女兵士達の【抱きつき禁止】という言葉を思い出し、足を止めたのだ。
(何か難しい…)
俯いて立ち尽くしていると、小さな影に1つ影が重なる。
そして頭上から声がした。
「オイ、いつ追い付く?」
『…えっ?』
リンが顔を上げると、リヴァイが渋い顔をして立っていた。
「まさか…俺が気付かないと思っていたのか?」
『リ…ヴァイ…へい…ちょー?』
「あ?てめぇ今、何て言った?」
眉間の皺が更に深くなる。
『へい…ちょー』
リヴァイは深くため息を吐き、リンの頭に手を置く。
「リン…以前ハンジが言ったはずだ。兵士じゃないお前が、役職を付ける必要はないと。」
『うん…言われた。』
「じゃあなぜ付ける?誰かに何か言われたのか?」
『………。』
リンはまた下を向く。
「顔を上げて俺を見ろ!…もう一度言う。お前はそれ(役職)を付ける必要はねぇ。もし誰かに何か言われて迷ったら、俺かエルヴィンに聞け!いいな?」
『うん、分かった。』
リンは顔を上げ…リヴァイの瞳を真っ直ぐ見つめると、大きく頷いた。
「それにお前に役職付けて呼ばれるのを嫌がる奴が、(俺含め)確実に3人はいると言うことも忘れるな。」
『そうなの?』
「あぁ。試しにエルヴィンとハンジを、役職付けて呼んでみろ!面白い顔が見れる。」
『うん、やってみる!』
やっといつも通り笑顔を見せたリンを、愛おしそうに見つめ…リヴァイは頭をポンポンと撫でた。
「ところでお前、ハンジを見なかったか?」
『あっ、さっきモブリットに会った!ハンジは確か、明後日の準備に没頭してるって言ってたから…多分研究室かな?』
[今は食堂に移動している]
『食堂に移動したってライキが…』
「そうか、丁度いい。俺はまだ昼食を食ってねぇ。お前が作ったスープを食べさせろ!」
『今日のスープは豪華だよ〜具がいっぱい入ってるの!』
「悪くねぇ。行くぞ!」
リヴァイはリンの手を取り、しっかりと繋いで食堂に向かった。