鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第7章 :壁外調査〜幕間❶〜
〈 モブリットの場合 〉
『あっ、あれは…モブリット!!』
沢山の書類を抱えたモブリットを発見し、後ろから声をかける。
「リン…君はいつも元気だね。」
モブリットは疲れた様子で振り返り、リンの頭を撫でる。
『モブリットは大変そうだね。私何か手伝う?』
「ありがとう。でも…君に手伝って貰うような事は、今回ないんだ。ただ…分隊長がご飯も食べずに準備に没頭してるから、後で何か作って持って来てくれると助かる。」
『分かった。そういえば…モブリットは、何か役職ある?』
「ん?役職?ハンジ班:第四分隊副隊長という肩書きがあるよ。ハンジ分隊長の補佐役だね。」
『そっか…じゃあモブリットの呼び方は【モブリットふくたいちょー】?』
「そうだけど、そう呼ばれた事はあまりないし…リンもモブリットでいいよ。」
『いいの?』
「うん。でも突然役職を知りたいなんて…誰かに何か言われたのかい?」
『ん〜〜』
リンは目を逸らし誤魔化す。
「君が気にしなくても、君は兵士じゃないんだから…役職は必要ないよ。」
『うん…』
(私も付けたくないんだけど…)
「それに役職付けられて、悲しむ人が多いと思うよ。ハンジ分隊長やリヴァイ兵長は特に…あれ、リン?」
気付けばリンの姿は、もうなかった。