鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第7章 :壁外調査〜幕間❶〜
〜壁外調査 2日前〜
(何でこんな事になったんだっけ?)
目の前に立ちはだかる壁…もとい長身女兵士3人を見上げ、リンはため息を吐く。
そしてこうなるまでの経緯を考えてみた。
壁外調査2日前になると殆どの兵士達は…落ち着いた様子で食事をしたり、自主練をしたりする。
幹部達は前日まで壁外調査の最終確認や書類に追われ、相変わらず忙しく動き回っている。
リンはいつもより少し豪華なスープを作った。
そしてそのスープを今日は1人で食べた。
食事を終えた後、手持ち無沙汰になってしまい…何をするか考えていた。
(リヴァイとエルヴィンにお茶淹れる?それともハンジの手伝いするかな?)
そんな事を考え中庭を歩いていると、突然後ろから声がかかる。
「ちょっと貴女、こっち来てくれる?」
知らない女兵士だった。
基本的に幹部としか接点がないリンは、新兵や他の兵士を知らない。
今回初めてミケ班で幹部達以外の兵士とも関わる事になり、陣形会議の際初めてヘニング,リーネ,トーマと顔合わせをしたくらいなのだ。
『えっと…誰?』
「誰でもいいでしょ?とにかくこっち来て!」
備蓄倉庫付近に呼ばれた。
そこで初めて、顔見知り兵士がいた事に気付く。
『あれ?貴女…この前リヴァイに告白した人だよね!』
「はぁ?何それ…私聞いてないけど!抜けがけ禁止じゃなかった?」
「ッ!それは…壁外調査前はいいでしょう?死ぬかもしれないのに、告白も出来ないなんて…絶対イヤ!まぁその子のせいで、即断られたけど!」
(私のせい?)
『それで…何の用?』
「あんたね〜幹部の方々に、馴れ馴れしいのよ!」
『馴れ馴れしい?』
「貴女がどういう立場なのか知らないけど、団長や兵長を役職無しで呼び捨てするなんて…ありえない!」
『やくしょく?』
「団長・兵長・分隊長!」
『あ〜なるほど!でも兵士以外、付けなくっていいってハンジが…』
「ハンジ分隊長!」
(面倒だな…)
「ハイ、復唱!エルヴィン団長・リヴァイ兵長・ハンジ分隊長。」
『エルヴィンだんちょー・リヴァイへいちょー・ハンジぶんたいちょー?』
「まずはそこから始めなさい!あといちいち抱き着くのも止めなさい!(羨ましい…)」
『…分かった。』
(とりあえず面倒だから、言われた事やってみよう。)