鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 :変化する2人の関係〜壁外調査:前編〜
食事が終わり…サシャ,コニー,ジャンとは、店前で別れる。
そしてリンはエレン,ミカサ,アルミンを連れて、小高い丘に向かった。
そこは青々とした草木が広がり、見晴らしの良い場所だった。
『昔シガンシナ区にもこういう場所あって、よく一緒に遊んだんだけど…エレンは覚えてる?あそこ私、凄く好きだった!』
「あぁ…あったかもな。」
エレンはまだ仏頂面をしており、返事も曖昧だ。
4人はその丘の小さなベンチ2つに…リンとミカサ、エレンとアルミンで2人ずつ別れて座る。
『エレン…さっきはごめんね。ただあの言葉は真実で、なぜ私があんな事を言ったのか…きちんと理由を聞いて欲しい。』
「あぁ…」
リンは呼吸を整え、震える手を握りしめた。
東洋人が長い年月ずっと迫害されてる事・誘拐は日常茶飯事で、売られたり殺されたりしてる事・それによって東洋人は、毎日怯えながら暮らしていた事を話した。
『ミカサ達家族が人里離れた山奥に暮らしていたのも、それが理由だと思う。私達一族も迫害から身を守る為、隠れ郷に移り住んだ。でもその郷も1カ月程前、襲撃に遭って壊滅された…巨人ではなく人間に。』
「「えっ?!」」
「なっ?!」
3人は目を見開き、リンを見つめる。
『父は死に…母や親友、郷人も行方不明。…どんなに逃げても隠れても、執拗に追いかけられる。それが私達東洋人の運命だと…みんな諦めてた。でも私は運命に抗う事を決めたの!これからは私が、一族と全ての東洋人を守る為に戦うって…この力で!!』
リンは立ち上がり、空に手を伸ばす。
すると手の中に、1本の長刀が出現する。
「えっ…」
「はぁ?!なっ…何だ?!」
「えっ?!その長いブレード?…一体何処から?!」
ミカサ,エレン,アルミンも立ち上がり…驚きながら小柄な少女に手に突然現れた、見た事もない長い刀を凝視している。
『これは…全ての東洋人を守る為、ある契約をした証。私はこの力のおかげで怪我をしてもすぐ回復するし、死ぬ事は絶対ないの!私は死なない…だから心配しなくても、大丈夫なんだよ?』
リンは切なそうに笑う。
暖かい風が吹き、少女の黒髪を優しく撫でる。