鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 :変化する2人の関係〜壁外調査:前編〜
〜壁外調査:3日前〜
ハンジがいつものように研究に勤しんでいると、突然大きな音で扉が開く。
「おい、クソメガネ!リンはどこだ。」
開けた瞬間大量の埃が舞い…眉間に深い皺を寄せたリヴァイは、クラバットを口元にあてた。
「てめぇ…いい加減、掃除しやがれ!」
「兵長、申し訳ありません!せっかくお越し頂いたのにお渡しする筈の書類は、まだ分隊長のサインが入ってません。」
「あ?別にそれは期待してねぇ。それより…リンが部屋にいねぇんだが、どこに行った?ここにいねぇのか?」
「リンですか?ここには来てませんよ。」
「チッ、時間の無駄だったな。」
リヴァイは舌打ちすると、全開にしていた扉を閉めて去ろうとしたが…そこに新たな客が来て手を止めた。
「ハンジ、頼まれてた書類持って来たよ。」
「待ってたよ〜ナナバ!」
ハンジはボサボサの髪で部屋の奥から埃を纏いながら現れ、ナナバの書類を喜んで受け取る。
「書類?てめぇがナナバから、何の書類を必要としてる?」
「私達の班の陣形だよ。」
「あ"ぁぁぁ〜何で私の班とミケの班、こんなに離れてるのさ〜!しかもこの陣形じゃあ、リンの姿が見れないじゃないか〜!!」
(まぁ…それ予防の陣形だろうね。)
ナナバは困ったように苦笑する。
リヴァイは大きくため息を吐いた後、ハンジを完全に無視する事にし…ナナバに目を向ける。
「おいナナバ、リンを見なかったか?部屋にいねぇんだが。」
「あぁリンなら…午前中は私達と壁外調査の陣形会議して、午後からは訓練兵団に行ったよ。」
「訓練兵団?」
「えっ?何で訓練兵団?知り合いでもいるの?」
「うん。2期生の中に、東洋人の女の子がいるんだって。その子に会いに行ったよ。」
「そっか、仲間を見つけたんだね…良かった。」
ハンジは身体や頭に付いた埃を払い、髪を手櫛で直しながら目元を緩ませる。
「あ〜あと、年下の男の子もいるみたいだよ。昔よく遊んでた子らしくて…」
「あ"ぁ?男…だと?」
「ムフフ、何それ…楽しそう!」
リヴァイとハンジはまるで正反対の表情で、ナナバを凝視した。