鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 :変化する2人の関係〜壁外調査:前編〜
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暫く穏やかな時間が過ぎていたが…ドスドスと足音が聞こえ、リヴァイは舌打ちするとリンの身体を離す。
「リン〜まだ??」
廊下からハンジの声が聞こえ…リンは茶葉を持ち、リヴァイも渋々部屋を出た。
「リン…無事だったようで、安心したよ。」
3人で部屋へ入るとエルヴィンは皿にお菓子を並べていた手を止め、リンの側に寄り頭を撫でた。
『何か皆そう言うんだけど…無事ってどういう事?あっ、お茶は私が入れる!』
リンは茶葉を入れようとしていたエルヴィンの手を止め、自分の茶葉をポットに入れた。
部屋に芳ばしい香りが広がる。
「いい香りだな…」
『これはうちの一族が愛飲してる【焙じ茶】っていうお茶なの。これにミルクや蜂蜜入れても美味しいんだよ。』
リヴァイはカップに注いだ【焙じ茶】を真っ先に手に取り、口に含む。
そして口元が緩んだ。
「悪くない…好みだ。」
『リヴァイは好きだと思った!』
少女は嬉しそうに、ニッコリ笑った。
「あっでねでね〜もっと早く言わなきゃいけなかったんだけど、今日は壁外調査4日前なんだ。壁外調査は命の危険を伴うものだから、この時期皆とてもデリケートでね…好きな人に告白したり抱きしめて貰ったり、家族に手紙を書いたりと各々の時を過ごす。でもたまに不埒な行動をする奴がいるから、十分注意してね!」
『不埒?』
「そう、嫌がる子を無理矢理襲ったり…とかね!」
『ん〜襲われてもライキ達いるから、平気だと思うけど?』
「危機感を持て!と言ってる。」
リヴァイは苛々しながら眉間に皺を寄せ、エルヴィンも困ったように笑った。
『は〜い。』
「ところでリンは、リヴァイに会う前に誰かに何か言われたりしなかった?」
『ん?言われたよ。』
「「何?!」」
「何〜!!どういう事?誰に何言われたの?」
『知らない人に【抱きしめさせて下さい】って言われた。』
「まさか…してねぇよな?」
リヴァイがギロリと睨む。
『してないよ〜知らない人だし【嫌です】ってちゃんと笑顔で、お断りしたよ。』
ニッコリ笑う。
(この可愛い笑顔で「嫌です」とハッキリ言われるのも、少し不憫だな…)