鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 :変化する2人の関係〜壁外調査:前編〜
『リヴァイ?』
リンはお茶を棚から引っ張り出し、様子のおかしなリヴァイを見たが…既にいつもの表情に戻っていた。
「リン、ちょっとこっち来い。」
リヴァイは手招きして自分の方に呼んだ。
素直にリヴァイの側に行くと…腕を引き、リンを突然抱きしめた。
「これが俺の要件だ。」
大人しく抱きしめられるリン。
『…リヴァイ、これって何かの儀式?』
「儀式?」
『うん、兵舎でもみんなやってたから。』
「あぁ…この時期の儀式みたいなもんかもな。」
『そっかぁ…』
リンもリヴァイを抱きしめ返す。
「お前…いい匂いするな。何か付けてるのか?」
抱きしめながらリンの首元に鼻先を押し付け、スンスンと匂いを嗅ぐ。
『ん?付けてないよ。あっでも、お花の香りのボディソープとシャンプーは使ってる。』
「ほぉ…兵舎で支給されてるやつとは、違うって事か?」
『うん!自分で作ってるの。今回の香りは【沈丁花】っていうお花なんだ。』
「…悪くない。お前に合った香りだ。」
(落ち着く…)
フッと笑う。
『リヴァイも作ってあげようか?リヴァイのイメージで。』
「あぁ…頼む。」
『分かった!…でエルヴィンの所、まだ行かないの?』
「あぁ…もう少しこのまま、大人しくしてろ。」
暫くリヴァイは抱きしめながら優しく頭を何度も撫で、サラサラした髪の毛を持ち上げ指先で弄びながら…リンの香りを堪能したのだった。