鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 :変化する2人の関係〜壁外調査:前編〜
〜壁外調査 4日前〜
中庭にリヴァイの姿が見え、リンは背後からこっそり近付く。
そして勢い良くリヴァイの首に飛びつき、ぶら下がった。
『だ〜れだ!!』
「ウ"ェッ!」
背が低い少女が首にぶら下がると足が離れ、首が完全に固定された事により締まり…踠いても上手く振り落とせない。
『リヴァイ〜?だ〜れだ!』
「て…めぇ…リン…離し…やがれ…」
『正解!!』
ピョンと地面に降り立ち、振り向いたリヴァイにニッコリ笑う。
「ゲホッ。テメェ…殺す気…か?」
数回咳き込んだ後、リヴァイはリンの頭を両側から拳でグリグリと挟んだ。
『痛い痛い!ごめんなさい!』
リヴァイは舌打ちすると、乱れた少女の髪を丁寧に直す。
「で?何の用だ?」
『あのね〜リヴァイ、探してたの!一緒にお茶を…あっ!』
その時初めて、リヴァイが誰かと話をしていた事に気付いた。
『…話してる最中だったんだね。邪魔してごめんなさい!』
そう言ってリンは、話相手にペコリとお辞儀をして去ろうとする。
しかしそのリンの手を、リヴァイが素早く握り引き止めた。
「待て!話は終わった、もう用はない。お前の要件を聞かせろ。」
「えっ?!で…でも兵長、私!」
「お前の話は分かった。だが叶える事は出来ない。俺はもう、そういう事は止めたんでな。…引き続き訓練に励め!以上だ。」
リヴァイは唖然とする女兵士にそう伝えると、リンと共にその場を去った。
『えっ…リヴァイ、大丈夫なの?私の要件は大した事ないよ?』
「あぁ、問題ない。俺もお前を探していたからな。」
『そうなの?リヴァイの要件は何?』
「俺は後でいい。お前の要件を先に話せ。」
『そう?私はただ…リヴァイとお茶飲みたいなって、思っただけだよ。ほら〜前に私の部屋で、飲む約束したお茶。』
みるみるリヴァイの口元は緩み…
『ほぉ…悪くねぇ。じゃあ行くぞ!』
手を繋いだまま、兵舎内に戻った。
「何?何なの?…あの子一体…何者?」
リヴァイに告白していた女兵士は足早に去る2人を、困惑した表情でずっと見つめていた。