鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第5章 : ◆◇ 心の居場所 〜自覚〜 ◆◇ /リヴァイ
エルヴィンから【リンはリヴァイに、嫌われてると勘違いしてるようだ】と言われた。
どういう事だ?
俺はアイツに嫌いだと言った事もねぇし、勘違いをさせるような事をした記憶も…少ししかねぇ。
勘違いされ、避けられるのも腹が立つ!
どうにかならないかと、日々考えていた矢先…リンの郷に行く日が決まった。
俺は郷への移動中…数日前突然部屋に現れた雷獣から聞いた話を、ずっと考えていた。
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〔リヴァイ…お前に頼みがある。〕
「あ?頼みだと?」
〔あぁ、あの子に関する事だ。〕
「いいだろう、聞くだけ聞いてやる。話せ!」
〔…郷へ着いたら、あの子の側から離れないで欲しい。〕
「…どういう事だ?」
〔あの郷には…もう何もない。あるのは絶望と悲しみだけだ。あの子がその光景を見て真実を知った時、恐らくあの子が本来持ってる力が暴走するだろう。〕
「何もない…だと?」
〔止められるのは…頼れるのはリヴァイ、お前しかいないと思っている。〕
「何故、俺だ?」
〔リンはお前と話してる時、1番良い表情をする。あんな風に怒ったり笑ったり、生き生きとしてる姿を…私は久しぶりに見た。使命を背負い泣く事も出来なくなったあの子も、お前の側なら心を許す気がする。リヴァイ…お前にはあの子の【心の居場所】になって欲しい。〕
「心の居場所…」
〔勝手な言い分なのは、重々承知している。だが私は期待している…〕
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俺が本当になれるのか?
あいつの心の居場所に…。
地下街で物を盗み人を殺し、地上でも仲間を沢山死なせた。
そんな俺が…あの純真無垢な少女の側にいても、いいんだろうか?
そんな事を、郷に着くまでずっと考えていた。