鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 :回り始める運命、絶望の中にある優しい鼓動
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儀式が終わり、リンが部屋から出て来る。
見た目は儀式前と何も変わっていない。
『…みんなを弔ってくれたんだね、ありがとう!』
「いいって、いいって〜!それより、お父さんの亡骸がないけど、まだ生きてはいるの?」
『ううん…父は死んだよ。死んでも、私達契約者の亡骸は残らないから。』
「えっ?!」
守護獣と契約とは…
【守護獣は主(マスター)の命に従い…その身を守り助け、全ての力を主の為に注ぐ】
『だから私が契約し続ける限り、死ぬ事は絶対ない。怪我をすればすぐ回復するし、その力で戦う事が出来るから。』
【主になる者は守護を得る替わりに、大量のエネルギーを奪われる。そして命尽きたあと、魂以外の亡骸は全て守護獣に捧げる】
『父の亡骸が残ってないのは、契約解除後にその命が尽き…風の狼フェイに魂以外を喰われ吸収されたから。』
しかし何故戦いの最中に、父が守護獣と契約を解除したのか…それだけはリンにも理解出来ない。
『契約内容なんて前から知ってたのに、いざ父が死んで亡骸を弔えない事がこんなに辛いなんて…思わなかった。』
「魂…以外?」
『私達の一族は【輪廻転生】を信じてる。死んであの世に還った魂が、この世に何度も生まれ変わり…また出会う事が出来ると。』
「輪廻転生…」
それが本当なら…またいつか何処かで、彼らに出会う事は出来るのだろうか?
その時お互いを見つける事が出来るのか?
ファーランとイザベルを想い、リヴァイは夕暮れの天を仰ぎ目を閉じた。
『未来でまた会える…そう信じてるから、もう私は悲しまない。母やマナにもきっと…』
〔マスター、ルーサ(母)は生きている。〕
『えっ?!』
〔我々はルーサを喰っていないし、あの扉の先から気配を感じる。あの先は新たな郷へと続いていると言われている。カイはその先へルーサ達を逃がす為、最後まで扉を守ったのだろう。〕
そうか…だから父はその場で、フェイと契約を解除したのだ。
あの扉は契約者とフェイがいなければ開かない。
敵をこの先に進ませない為、一旦この場で契約解除し…娘であるリンにフェイを託したのだ。
それを悟り感謝した。
『お父さん…ありがとう!お父さんが命懸けで守ったもの、今度は私が引き継ぐよ。』