鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 :回り始める運命、絶望の中にある優しい鼓動
リヴァイは舌打ちして辺りを見回す。
「それで?これからどうする?」
『…丁度陣があるし、ここで【契約】をする。』
「えっ?でもそれって、16才からしか出来ないんでしょ?リンはまだ15才だよね?」
『私今日…16才の誕生日なの。』
「えっ?!」
「なッ?!」
「ッ?!」
3人は初めて聞いた事実に、驚きを隠せない。
きっと誕生日を家族や郷の住人と祝える事を、楽しみにしていたのだろう。
だからここに来るまで、とても楽しそうだったのかと思い出すと…切なくなる。
『誕生日に…全て喪うなんて、思わなかった。』
そう言って、泣きそうな顔でリンは笑った。
『儀式を見せる事は出来ないから…リヴァイ達は、さっきの所で待ってて。』
「あぁ。」
リヴァイ達が広間から出た後、その部屋には結界が張られる。
〔リン…本当に良いんだな?契約すれば後戻りは出来ない。全てのリスクを背負う覚悟は出来ているのか?〕
『今更…何を躊躇うの?たとえこの身がいつか跡形もなく消滅するとしても、私は最後までこの力で仲間を救って…守る!』
〔了解した…マスター!〕
ライキとレイは、静かに頭(こうべ)を垂れた。
「ねぇ、ちょっと気になったんだけど…あの鈴が彼女のお父さんの物だとして、亡骸がないって事はまだ生きてるのかな?それとも誰かが持ち去った?」
「…さあな。」
ハンジが疑問に思っていた事を口にするが、誰も理由は分からない。
「あの…分隊長。」
無言が続く中、モブリットが声をかける。
「何?モブリット。」
「さっき彼女は、今日が誕生日だと言ってました。せっかくの誕生日を、こんなに悲しいまま終わらせたくありません!今日兵舎で彼女の誕生日会をするというのは、どうでしょう?」
ハンジは目をキラリと光らせ、途端に興奮し出す。
「それいいよ、モブリット!!大賛成だ!ねぇリヴァイ !」
「あぁ、悪くねぇ。」
「ありがとうございます!では早速私が先に兵団に戻り、エルヴィン団長にお伝えして来ます!」
「あぁ、頼んだよ!リンの好きなもの、沢山用意してあげて!」
「了解です。では…」
モブリットは急いで郷の外に出て、兵団へ戻って行った。
「じゃあリヴァイ、私達は彼らを弔ってあげよう。」
「…あぁ。」