鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 :回り始める運命、絶望の中にある優しい鼓動
ドクン
大きく心臓が跳ねる。
この鈴がここに落ちてる意味を、少女はすぐ悟った。
『イヤ…いやぁぁぁぁぁ〜〜!!』
身体の震えが止まらず、その場に崩れ落ちる。
そして叫んだ瞬間、少女の周りに光線が迸る。
身体から発生した光線は少女を包み込み…瞳から光が消え、意識は闇に堕ちた。
〔ダメだリン…リヴァイ!〕
「リン!!」
ライキが叫んだ時には既に、その空間全てが光の渦に飲み込まれていた。
リヴァイもライキの声と同時に側に駆け寄るが、光に弾き飛ばされる。
その光の激しさと眩しさに、もう誰も少女に近付けない。
「リン!落ち着け!」
(クソッ、どうしたらいい?どうしたらアイツを止められる?)
(考えてても仕方ねぇ、俺が止める!雷獣に言われたからじゃねぇ!これは俺の意思だ!)
リヴァイはジャケットを脱ぐと、リンの元へ再度走る。
リヴァイの身体には容赦なく、細かい光の矢が次々と突き刺さる。
(ッ…痛ッてぇな!クソが…)
だがそれだけリンの心は、深く傷付いている…そう思うと足は止まらない。
リヴァイは光の波を何とか掻き分け、リンの身体を抱きしめた。
「リン!目を覚ませ!俺の体温を感じろ!声を聞け!リン!!」
(誰か…呼ん…でる?誰…)
「リン、俺を呼べ!俺はここにいる!」
(誰…?あっ…紅茶の匂い。知ってる…私、この声…この人は…)
シャツの下から感じる、温かい体温・逞しい腕・紅茶の香り…
ドクン・ドクン・ドクン
そして少し早いリズムで刻む、心地良く優しい鼓動…
『あ…リ…ヴァイ?リヴァイ…。リヴァイ!』
瞳に光が戻り意識を取り戻したリンは、リヴァイの背中に手を回す。
そしてリヴァイを強く抱きしめ、大声で泣き出した。
「やっと呼んだな…」
リヴァイはフッと笑い…泣きじゃくる小さな身体を抱きしめ、その頭と背中を優しく何度も撫でた。
チリリリリン…
リリリリ…ン
髪留めに付けていた金色の鈴と、手に持っていたカイの鈴が突然鳴り響く。
そして光の渦は徐々に収束し…広い空間にはリンの泣き声と鈴の音だけが、響き渡っていた…。