鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 :回り始める運命、絶望の中にある優しい鼓動
「そういえば…郷には結界が張られてるって言ってたけど、私達は外で待ってればいいのかな?」
『うん。私が先に入って許可を取るんだけど…でもまぁ、今日はすぐ入れると思うよ!』
「今日は?今日何かあるの?」
『うん!』
リンは相変わらずニコニコしてるが、理由については何も話さない。
ハンジはまた首を傾げたが、楽しそうな少女を見て口元が緩んだ。
(お母さんのケーキ、楽しみだな〜。)
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ダウパー村に近付くにつれ、リンの笑顔が消える。
(何か変。心臓がドキドキする…)
「リン、どうかした?」
『分からないけど…何か嫌な感じがする。』
リヴァイとライキは、その呟きに何も答えない。
ただ無言で前だけを見ていた…
リトリートへの入口に着き、リンは辺りを見回す。
そして入口に入ったが、その場で立ち止まる。
『結界が…解かれてる?何で…こんな事、今まで一度もなかったのに。』
「リン?」
ハンジは様子のおかしいリンに話しかけた。
その途端、リンは走り出した。
その後をライキとリヴァイが追う。
其処は…まるで大量の奇行種に踏み荒らされた様な、地獄絵図だった。
店や住処は荒らされ、人があちこちに倒れている。
息をしてる者は誰もいない。
リンはその光景を見たまま、呆然と立っている。
「何…これ?何があったの?」
遅れて追いかけて来たハンジとモブリットも、呆然とその光景を見て固まる。
『ッ…お母さん、お父さん…マナ〜!!』
リンはまた走り出す。
(どうして?どうしてどうして…こんな事に?お母さん、お父さん、マナ…無事でいて!!)
走り続けると開けた場所に辿り着く。
巨大な空間の床には円があり…その中にも何か模様が描かれ、その奥に厚い扉がある。
その扉の前に何か落ちている。
(何だ?)
すぐ後に続きその空間に入ったリヴァイは、リンより先にその落ちてる物体に気付く。
『お父さんの…鈴?』
それは、青い紐が付いた銀色の小さな鈴…郷の人間である証だった。