鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第23章 :7章 番外編 いじめと本音と制裁と
「それってもしかして…最近リンに、役職がどうとか言ってた子達の事?」
〔その女も含めてだ〕
「含めて?」
〔お前達の取り巻きの女だ!〕
ハンジの問いに、ライキは怒りを込め唸った。
「取り巻き?」
エルヴィンは最近新人育成として、仕事を手伝わせていた女兵士を思い浮かべ…顔を歪める。
リヴァイも舌打ちした。
「すまなかった…リン。確かに我々の、監督不行届だ。」
エルヴィンの言葉に、少女は首を横に振る。
「エルヴィン…彼女達には壁外調査で、前線に出て貰おう!」
「そうだな。どこの班に入れる?」
「私の班でもいいよ。巨人に1番遭遇しやすいだろうし。」
ハンジは鋭い目で、エルヴィンを見つめる。
『えっ?!待って待って!そこまで…しなくていいよ。服はまた買えばいいし、命をかける程じゃ…』
「あのねリン、壁外調査前の休みはね…心や体調を整える日でもあるけど、それだけじゃない。信頼関係を確認する機会でもあるんだ。彼女達がした事は、壁外で共に戦う仲間に対しての侮辱だ。このまま有耶無耶にして、彼女達が死に帳面した時…君は快く彼女達を助けられるかな?」
『…自信はない…けど。』
ハンジの言葉と表情に、言葉を濁らせる。
「そうだよね。だから彼女達には【制裁】が必要なんだ。壁外で背中を預け…共に戦う為に。」
『ハンジの言ってる事は分かる。でも…』
「何も見殺しにしようとは言ってない。壁外の恐ろしさを体験し、仲間の大切さを知って貰うだけだよ。」
ハンジの表情がやっと崩れ、片目で少女に視線を送る。
『……』
だが優しい少女は、未だ納得出来ない。
「リン、君はいつも白くて可愛らしい服を着てるよね。あの服…白いから同じような見えるけど、全て違うデザインだ。その中で、お気に入りの服が何着かあるでしょ?」
『えっ?何で…』
「気付かないと思った?私だけじゃない…リヴァイやエルヴィンも、気付いてるよ。」
ハンジがエルヴィンとリヴァイに視線を送ると、2人は静かに頷く。
「それは…君の【特別】大切な服じゃないの?」
『ッ!?……』
隠していた事が見破られてしまい、少女は俯いた。