鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第23章 :7章 番外編 いじめと本音と制裁と
-エルヴィン執務室-
コンコン
「入れ。」
扉をノックすると入室許可がおり、モブリットが先に入室する。
リンも中に入るが、モブリットの背でまだ姿は見えない。
「失礼します。あっ…リヴァイ兵士長も、こちらにおいでだったのですね。お忙しいのに邪魔して、申し訳ありません…」
モブリットは仰々しく挨拶をする。
「構わない。どうした?」
「それが…」
モブリットが口を開こうとすると…同時にモブリットの後ろから、少女がひょこっと顔を出した。
『あっ、ホントだ!リヴァイもいる!』
「「リン?!」」
突然現れた少女に、エルヴィンとリヴァイは驚き顔で凝視する。
「あ"?」
(あのジャケット…誰のだ?)
「その格好は一体…」
リヴァイは眉間に皺を寄せ、エルヴィンは不思議そうに首を傾げた。
驚くのも無理はない。
少女はモブリットの大きなジャケットで、完全に身体が隠れ…少女がよく作る"てるてる坊主"という晴れ乞いをする人形に、よく似た格好をしていた。
『モブリット、ジャケットありがとう!もう脱いでいいよね?』
「あっ!ちょっ…待っ…」
モブリットの制止も間に合わず…少女はジャケットを脱いでしまった。
そして露わになる少女の寝間着姿を、更に凝視し固まる2人。
真っ先に気付いたリヴァイが、すぐ様自分のジャケットを脱ぎ…少女の肩にかける。
「てめぇ…何て格好をしてやがる!」
『大丈夫だよ。このネグリジェ可愛いから、ワンピースに見えるでしょ?』
「見えねぇよ!」
「見えないよ…」
リヴァイは少女を睨みつけ、モブリットはため息を吐いた。
「リン…その格好はとても可愛らしいけれど、この兵舎の大半は男だ。況してや今日は壁外調査の前日…兵舎が1番ピリピリしてる時に、その格好で歩き回るのは良くない。それを知っててその格好なのは…何か事情があるんだな?」
エルヴィンは近付き、優しく少女の髪を撫でた。
『うん…』
少女は俯き、小さく頷く。
そしてこの部屋に来るまでの経緯を、話し始めた。