鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第22章 :11章 番外編 夜会❷〜貴方とワルツを〜
(お手洗いに行きたいな…。こういう時、何て言うんだっけ?確か…)
『ねぇ…薔薇を摘みに行きたいのだけれど?』
「えっ?!」
ボーイは酷く驚いた顔をして、少女を凝視している。
(あれ…何かおかしかった?)
酔った少女に正常な考えは皆無で…間違って発した言葉に全く気付かない。
「かし…こまり…ました。こちらへ…」
ボーイは顔を赤くし、トレイをテーブルに置くと少女を誘導する。
その後ろにリンも付いて行った。
ボーイはズンズンと暗がりへ進んで行く。
いつの間にか知らない場所へ来ていた。
(トイレ…ヤバイ…)
『あの…まだ?早く(トイレ)したいんだけど…』
「えっ?あっ、ハイ!ではこの辺で…」
ボーイは上着を脱いだ。
そして預かっていた少女のケープと一緒に、小さなベンチに置く。
『えっ!ここ…まだ外だけど?』
「早くしたいと仰っていたので。此処なら誰の目にも触れません。」
(何言ってるの?この人…)
ボーイは静かに近付き、少女の肩に両手を置く。
そしてベンチにゆっくりと押し倒した…
「おい、てめぇ!俺の連れに何してやがる!」
『あっ、リヴァイ!』
ボーイの肩口から顔を出し、少女は笑顔で返す。
そこには…今にもボーイを殺しそうな鬼の形相で睨む、リヴァイが立っていた。
「おい、何してる?その手を離し、そいつから離れろ!リン…来い!」
リヴァイは少女の瞳を真っ直ぐ見て、手を伸ばす。
『は〜い!』
リンはボーイの腕から逃れると、リヴァイの元へ走り抱きついた。
リヴァイは大切そうに、少女を抱きしめる。
そして気付いた…
「お前…酒くせぇ!飲んだな?」
『ん?ジュースだよ。』
「嘘付くんじゃねぇ!酒は飲まねぇって約束したよな?」
『ん〜そうだっけ?それよりリヴァイ…私化粧室行きたいの。それでその場所をその人に、案内お願いしてたんだよ。』
「あ"?便所?」
「えっ?!化粧室?」
ボーイは初めて聞いたかのように、酷く驚いた顔をしている。