鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第22章 :11章 番外編 夜会❷〜貴方とワルツを〜
ピクシスの手を取ると、グイグイと広間中央に引っ張る。
「ちょッ、ちょっと待て!こんな激しい曲でワシは踊れん。まずパートナーと踊りなさい。」
『そう?分かった!リヴァイ、一緒に踊ろう!』
リヴァイを見つめ、手を差し伸べるリン。
「バカが…そういうのは、男が誘うもの…だ!」
少女が差し伸べる手をグイッと引っ張り、腰を引き寄せると…リヴァイ達は広間で踊り出した。
タンタタタン
タンタタタン
かなり早いステップだが、2人の息はピッタリだ。
「へ〜上手いね、リン。」
2人を見守るハンジが、感嘆の声を上げる。
「リンは、夜会経験があると聞いたけど…誰と参加していたのかな?」
アメリアが首を傾げる。
「それが…教えてくれないんだよね。サロンとも顔見知りみたいだったし…まだまだ謎が多いよ、あの子は。」
楽しそうに踊るリンを、暫く見つめていたが…
「さて…私もそろそろ、踊って貰おう!」
ハンジは速足で広間に近付いて行った。
『リヴァイ、ダンス上手いね!』
「お前もやるじゃねぇか!」
息も切らせず華麗なステップを踏む2人は、いつしか大勢の者に注目されていたが…2人は全く気にせず踊り続けている。
そして曲が終わると、大きな拍手が巻き起こり…やっと2人は見られていた事に気付いた。
「あれは調査兵団のリヴァイ兵士長か?一緒にいる、可愛らしいご令嬢は誰だ?」
突然周りの視線が気になり、リンはリヴァイの手をギュッと握る。
『私達…見られてる?』
「気にすんな。」
『やっぱり、リヴァイは人気者なんだね!』
「…そうじゃねぇ。」
相変わらず自分がどう見られてるか気付かない少女に、リヴァイは大きくため息を吐いたのだった。