鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第20章 4章 番外編 悲しみと幸せの誕生日
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パーティーが少し落ち着いた頃…主役のリンがいない事に、リヴァイは真っ先に気付いた。
辺りを見回すが…ハンジやエルヴィン、ナナバ達の側にもいない。
リヴァイは立ち上がり、一度自室に戻って小さな袋を手に取ると…少女を探すべく中庭に出た。
リンは…
中庭にある倉庫の屋根の上で、夜空の星を見ていた。
「今日はよく見えるな。」
リヴァイは静かに少女の隣へ座り、自分も夜空を見上げる。
『うん…』
『あのケーキね…私がお父さんにお願いしたの。いつか自分の身長より高い、ケーキを食べてみたいって私のワガママ…叶えてくれた。お父さんと一緒に見たかったな…ケーキ…』
星空を見上げる少女の瞳からポロポロと雫が溢れ、次々と頬を伝う。
雫は月の光で、キラキラと光を放っている。
「そうか…」
リヴァイはその涙を、綺麗だと思った。
そして何も言わず静かに少女の手を取り優しく握ると、そのまま共に夜空を見ていた。
暫くすると…
胡座の膝に頬杖をつき、ジッと少女の泣き顔を見つめていたリヴァイにふと気付き…目が合ったリンは照れ隠しで、リヴァイの両眼を片手で覆った。
『…見過ぎ!』
リヴァイはその手を退かし、少女の手首を掴むとフッと笑う。
「気が済んだか?」
手を伸ばし頭をクシャとひと撫ですると、クラバッドを外し少女に渡した。
『うん…スッキリした!』
笑顔でクラバッドを受け取り、目元に残った雫を拭う少女にリヴァイの目元が緩む。
「リン、手を出せ。」
『ん?』
大人しく手を出すと、リヴァイはそこに小さな袋を乗せた。
『…くれるの?』
「あぁ。」
『もしかして…誕生日プレゼント?』
「…その前に買ってた。」
『誕生日知らないのに、用意してくれてたの?』
「たまたま見つけただけだ。…何だ?要らねぇのか?」
『欲しい!ありがとう。』
小さな袋を開けるとそこには…翼の形のトップに2色の石が付いた、ペンダントが入っていた。
左右の翼にはそれぞれ、黒と金色の石が使われている。