鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第18章 :全ての始まり〜また会う日まで〜
「でもだったらもしかして…リンは今も、恋とか全然分からないの?」
『…今は…分かってる。私の泣ける場所は1つで…ずっと側に居て欲しい大切な人も、1人だけだから。』
「そっかぁ、安心したよ。」
ハンジはフッと笑うと、少女の髪を優しく撫でた。
「えっ?あの人…恋人じゃないんですか?」
マナが驚いたように少女を凝視する。
『違うよ〜あっ、ケーキ取って来る〜!』
話の最中に突然席を外した。
「えっ…でも…」
(どう見ても2人、恋人同士の雰囲気だったけど?)
「マナ君、誰の事を言ってるか察しは付いてるけど…あの2人はまだ恋人じゃない。お互い想い合ってる癖に、ヘタレ男と鈍感少女のせいでね!」
ハンジはマナの肩を、ポンポンと叩く。
「なるほど…。」
(でもあの人なら…安心してリンを任せられそうなんだけどなぁ)
「あの雰囲気で恋人じゃないとか…可笑しいし何とかしたいけど、2人の問題だからね〜。離れて再認識するかもしれないし…見守ろうと思ってさ。」
そう言ってハンジは、空になったマナのグラスにジュースを注ぐ。
(あの子の事だから、何か突拍子も無い事しそう…)
マナは密かに心の中で思い、グラスを傾けたのだった。
ケーキを取りに行くと言ったリンは、何故か屋根の上にいた。
そこにブランケットを敷いて寝そべり、星空を見ている。
「オイ…主役がこんな所で、何してやがる?」
『あっ、リヴァイ!』
リヴァイは持って来たブランケットを、寝そべる少女の上にふわりと乗せる。
『ありがとう。急に星が見たくなって…。ねぇリヴァイ…ここから見える星はね、亡くなった人の魂なの。』
「魂?」
『うん。転生する前に星になって、私達を見守ってくれてるんだって。だから…あそこにはお父さんやファーラン、イザベルやカナメも…見守ってくれてるよ。』
「…イザベルを知ってるのか?」
『会った事はないけど…昔ファーランが教えてくれたから。』
「そうか…」
『リヴァイは星の話、信じる?』
「さぁな…だが悪くねぇ。」
『そっか…良かった。あっそうだ!私、リヴァイに渡す物があったの。』
少女は身体を起こしポケットから、小さな袋を引っ張り出した。
そしてそこから石の付いたペンダントを取り出すと、リヴァイの手にそっと乗せる。