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鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】

第17章 :守れない約束〜終わりの始まり編 終章〜



『カナにぃ…死んじゃイヤ…』

雫がいくつも滑り落ち、頰を濡らしていく。

「まだ…そう呼んで…くれるのか?…俺はどこで…間違ったんだろう?ただリンが好きで…一緒に生きて行きたかった…だけなのにな。君とマナと…3人で一緒に…。」

『カナにぃ!』
「カナメにぃ!」

リンはカナメに縋り泣き…その背中に手を置き、マナも涙を流し続ける。
その姿を、リヴァイは静かに見守る。

『ごめんなさい…私がもっと早く、カナにぃの気持ちに気付いていたら…。無知で…ごめんなさい!』

「君は…そのままで…いい。そのままの君が…愛おしいから…。君は…俺の光…だから。」

腐食は全身に広がり、瞳の光も鈍くなっていく…

「他の…男に…君を託す…のは…悔しいけど…どうか…幸せに。ありがとう…会えて…良か…った。愛…して…る。」

瞳の光が完全に消える寸前…カナメは最後の力を振り絞りリンの後頭部を引き寄せると、頬に一瞬だけ軽く触れるだけのキスをした。
そして…

「ーー憲兵に…気を…つけろ…」
『……えっ…?』

そう耳元で囁くと、後頭部を離しカナメは事切れた。

『カナ…にぃ?』
「カナメにぃ!!やぁぁぁ〜!」

2人はカナメの腐食した身体に、縋り泣いた。

その声は茜色の空に、いつまでも響き渡っていた…








落ち着きを取り戻したマナは、カナメの身体を別の場所に運ばせる為にライキと話をしている。
その姿をリンはボーッと見ていた。

突然少し乱暴にクシャリと頭を撫でられ…顔を上げると、リヴァイが側に立っていた。

「落ち着いたか?」

クラバッドを手渡す。

『ありがと。うん…もう大丈夫。』

クラバッドで、目元に残った雫を拭った。

「そうか。…ところでお前、最後にあの男に何か言われてなかったか?」

『…よく…聞こえなかったの。だから分からない…』

「…そうか。」

左右に首を振りそう答えた少女に、リヴァイは納得出来ないまま見つめるが…それ以上追求はせず、手を差し伸べ立ち上がらせ歩き出した。




(【中央憲兵に気を付けろ】…そう聞こえた。中央憲兵…確か王直属の組織で、憲兵団とは指揮系統や仕事内容が異なると聞いた事がある。調べる必要がありそうね…)

リンは心の中で、密かに決意したのだった。



17章 Fin.
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