鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第17章 :守れない約束〜終わりの始まり編 終章〜
(チッ、狙いはコイツか!何処だ…何処から撃った?)
リヴァイは意識を集中させ、気配を探る。
「隊長…まさかこの距離で、外したんですか?腕落ちましたね。」
「うるせぇよ!わざとだよ、わざと!俺の将来の嫁に当たったら、危ねぇだろうが!!」
「嫁?あなた、ただのストーカーじゃないですか…。」
「馬鹿か?俺はいつも、嫁を見守ってんだよ!」
「はぁ。…そんな事より、どうするんです?トドメ刺してませんが。」
「いいんだよ、あいつは放っておいてもすぐ死ぬ。ガキのくせに…人の女に手出した罰だ。此処から早々に撤退するぞ!ドチビの番犬が、こっちに気付く前にな。」
「番犬?」
(チッ…何であのドチビが、リンの側にいやがる?)
2つの気配は静かに消えた。
『カナメ…カナメ!待って、今私が回復を…』
血が流れる肩口に手を当てるが、その手を掴まれる。
「必要…ない…」
『どうして!』
「俺は元々…長くない。呪力を使えば…ゴホッ…必ず自身に呪は…跳ね返る。俺の身体は既に…蝕まれて…いる。」
カナメの言う通り…首や顔は変色し、身体全体に広がっていく。
(だからあんなにあっさりと、捕まったんだ…)
『でもダメ…死んじゃダメ!まだ聞いてない。…貴方は恨みと憎しみで父を殺した。でもカナメ1人の意思と力ではないでしょう?誰かに命令されたんじゃないの?教えて…お願い!』
傷口に手を当て続けるが、一向に癒えない。
[マスター…無理だ。この男の言うように…この身体は蝕まれている。これは我らとて治せない]
『そんな…』
少女が癒しの手を離すと…変色したカナメの身体は、次々と腐食していく。