鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第17章 :守れない約束〜終わりの始まり編 終章〜
「リン…俺は…俺は何て事を…」
カナメは項垂れ膝をつく。
「リン!!」
リヴァイはいつの間にか、解かれた結界内へ駆け出す。
が…倒れる少女の目の前で、新たな障壁に阻まれる。
「雷獣、これを消せ!」
そう言ってリヴァイは障壁を強く殴り、ライキを睨む。
〔落ち着け。マスターは今、フェイと契約している〕
「あ"?契約…だと?」
目を凝らしてみると…確かに深々と刀が刺さった少女胸からは、一切血が流れていない。
〔あの娘:マナ・クラウディスは【守護獣の巫女】だ。契約方法を知り…尚且つ主以外で唯一、我らを動かす事が出来る存在。巫女の意識さえ戻れば、契約など容易い。〕
暫くすると障壁は解かれ…リンは何事もなかったように、ムクリと起き上がった。
「ごめん…リン、私が操られるなんて。」
マナはリンの横にペタリと座り、頭を下げた。
『マナのせいじゃないよ?それに私の意図にすぐ気付いてくれた…流石私の親友!』
優しく抱きしめると、マナの傷も癒える。
「…沢山傷付けてごめん。」
『平気、平気〜!もう全て、治っちゃったし〜ねっ!』
リンは立ち上がり、クルリとその場で回転し満面の笑みを浮かべた。
突然…強く腕を引かれ、広くて硬い胸板に額をぶつけた。
同時にふわりと紅茶の香りがして…リンは顔を上げた。
「…心配させやがって」
リヴァイは少し怒ったような声で、首元に顔を埋め…少女を強く抱きしめた。
『ごめん…リヴァイ。でも【大丈夫】って言ったでしょ?』
リンも抱きしめ返した。
(リンったら…いつの間に恋人なんて出来たの?後で詳しく聞かなきゃ!)
マナはその光景を、興味深そうにニコニコ見ていた。
『リヴァイ…手伝ってくれる?』
身体を離し、ニッコリ笑いかける。
「あぁ、任せろ…得意分野だ。」
リヴァイはその言葉の意味をすぐ理解し…口頭を上げポキポキと指を鳴らすと、ブレードを鞘から抜く。
『言って置くけど…まだ聞く事があるんだから、殺さないでよね!』
「安心しろ。半殺しに抑えてやる!」
楽しそうに答えた。
『(大丈夫かな…)さぁ…反撃の時間よ!』
2人は横向きで背中を合わせ、カナメに向かって刀を構えたのだった。