鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第17章 :守れない約束〜終わりの始まり編 終章〜
(このまま傷を負い続ければ、マスターの命が危ない。…待てよ…あの男、もしかして…)
[マスター、あいつに傷を見せろ!]
『はぁ…はぁ…ッ、傷?』
既に全身傷だらけで…荒く息を吐きながら踏ん張るリンに、ライキはそう告げる。
[あの男は守護獣によって、傷が治る事を知ってる。恐らく前回も今もすぐ治ると思い、攻撃させてる筈だ。傷が癒えてない事を奴に見せつけ、動揺を誘う!]
『なる…ほど…。分かった…』
リンはポケットからハンジの痛み止め薬を取り出し、口に含んで噛みしめ飲み込んだ。
そしてしっかりと立ち、カナメを真っ直ぐ見つめる。
『カナメ…貴方は私を、本当に想ってなんかいない。』
「…どういう意味だ?」
『私がこうして傷付いているのを、黙って見て…貴方は何とも思わないの?』
「その傷はすぐ治る。その為の守護獣だろ?だから…」
『前の傷が…まだ癒えてないとしても?』
リンは長袖を捲り、腕の包帯を晒すと…スルリとその包帯を外す。
腕は治るどころか傷が開き…止まった筈の血がまた溢れ出て、ポタリと地面を濡らす。
「…えっ?何で…」
カナメは目を見開く。
『貴方は知らないでしょうけど…契約前の守護獣から受けた傷は、その守護獣と契約しないと癒えないの。だからフェイから受けた傷は、フェイしか治せない。私を本当に想っているなら…死なせたくなかったら、フェイを返して!』
「ダメ…だ。そんな事したら君は、俺の元から永遠に去ってしまう。…でもこのまま戦い続ければ、リンは死んでしまう?だが…」
カナメは1人ブツブツと呟き始める。