鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第16章 :帰る場所〜終わりの始まり編❸〜
「おはよう、リン!随分スッキリした顔してる。…決めたんだね。」
リヴァイの部屋で目覚め食事を摂った後、素早く着替えて兵舎門へ行くと…ハンジとエルヴィンが待っていた。
リンは駆け寄り、ハンジの前に立つ。
『うん!自分で考えて決めたの。』
強い瞳でハンジを見つめる。
今日の服装はいつものワンピースではなく…壁外調査の時来ていた腰紐が付いた白いレースのチュニック・ショートパンツと七分丈パンツを重ね着し、ショートブーツを履いている。
あの時と1つ違うのは、長袖を着ている事。
まだ跡が残る傷を隠す為だ。
「そっかぁ、安心したよ。気合いも十分感じるし…もう大丈夫だね!傷は?痛み止め薬は飲んだ?」
『飲んだ。大丈夫!』
コクリと頷く。
「リン…約束して!必ず無事に此処へ帰って来るって。これ以上、怪我もしちゃダメだよ?」
『分かった。でも今回はリヴァイも一緒だし、大丈夫だよ!』
少女は微笑み、ハンジも笑顔で頭を撫でた。
「……で?リンはあんなにスッキリした顔してるのに、リヴァイはその隈…どうしたのさ?」
エルヴィンに挨拶をしに行った少女を横目で見送り、ハンジはリヴァイを凝視する。
「あ"?」
着用した立体起動装置を確認していたリヴァイは、眉間に皺を寄せギロリとハンジを見上げ睨んだ。
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昨夜。
リンが寝たのを確認し自室を出たリヴァイは、執務室のソファに寝転びブランケットを被った。
仮眠する際に使用するブランケットの為、夜寝るには少し寒い。
かと言って、少女の隣に寝る勇気などある筈もなく…リヴァイは天井を見上げた。
抱きしめた時の身体の柔らかさ・その身体や髪から発する風呂上がりの花香り、そして先ほど味わった唇の感触を思い出し…身体の火照りが抑えられない。
「眠れねぇ…」
結局リヴァイは一晩中、眠れない時間を過ごしたのだった。