鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第16章 :帰る場所〜終わりの始まり編❸〜
『リヴァイ…もう1つお願いがあるの!』
抱きしめ合っていた身体を離し、再度少女はリヴァイを見上げる。
「何だ?」
『今日、此処で寝てもいい?』
「………は?」
突拍子もない発言が少女の口から飛び出し…リヴァイは暫く固まる。
「何…を?」
『1人で寝るのが怖くて…ダメ?』
「ペトラかナナバの部屋で寝ろ!部屋に連れて行ってやる。」
『ダメだよ!こんな夜更けに…もう寝てるよ。』
「此処が男の部屋だと理解しての発言か?俺はお前に、危機感を持てと言わなかったか?」
『あるよ、危機感。だってリヴァイなら安心でしょ?』
リヴァイは眉間に皺を寄せる。
(今安心されても嬉しくねぇ…)
『やっぱりダメ?そしたら…エルヴィンならいい?』
「あ"?何でわざわざ、男の部屋に行く?」
『だってエルヴィンならまだ起きてるだろうし、信用してるから。』
(俺が信用出来ねぇんだよ!しかもそんな格好で…)
可愛らしいネグリジェ姿を見下ろす。
チッ
リヴァイは舌打ちし、大きなため息を吐いた。
(勘弁しろ…)
「…分かった。俺はまだ仕事があるから、俺のベッドで1人先に寝てろ。」
『うん!ありがとう、リヴァイ。』
既に仕事は終えていたが、一緒に寝る事など到底出来ないリヴァイは…自室の扉を開けベッドを整えると、そこに少女を導く。
そのベッドへ少女は1人そそくさと入り、布団に潜り込んだ。
『この布団…リヴァイの匂いがする。私があげた…ソープの…匂い…』
此処に来るまで、よっぽど緊張でもしていたのか…そのまますぐ、リンは眠りについた。
リヴァイはベッドへ近付き、そっと顔を覗き込む。
スヤスヤと可愛らしい寝顔で眠る少女は、全く起きる気配がない。
「いい気なもんだな…全く。…俺に対して危機感がねぇ、お前が悪いんだからな…」
リヴァイは少女の唇に、そっと二度目のキスを落とした。
そして頭を優しく撫で、執務室に戻って行ったのだった。