鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第16章 :帰る場所〜終わりの始まり編❸〜
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リヴァイは自室兼執務室に戻ると、ため息を吐き椅子に深く座った。
言い過ぎた事は自覚している。
嫌われる覚悟で言ったが、泣かせた事は後悔していた。
死なせたくない…ただ生きて側にいて欲しいだけなのに、何故もっと上手く伝えられない?
今更自分の口下手さに、嫌気がさす。
大切にしたいのに、自分の言動で泣かせてしまう…その葛藤に苛まれていた。
こんな事で…再度想いを伝える事など、本当に出来るのか?
しかも…俺は嘘を吐いた。
地下街での話だ。
ナイフで傷付けた事はあるが…殺した事はイザベルの時の、一度しかない。
殺しは地下街でも御法度だからな。
だがあぁ言わなければ、あいつは決断出来ない。
俺の嘘を、どう捉えたかは分からねぇがな…
リヴァイは自分に対し苛立ちを隠せず、チッと舌打ちをすると髪を搔き上げた。
そして執務室の机に置かれた書類を見つめ、再度ため息を吐くと…ペンを取り次々とサインをしていった。
コンコン
少しするとノックが聞こえた。
こんな時間に誰だ?
そう思い静かに扉を開くと…リンがネグリジェ姿で立っていた。
「リン、どうした?」
リヴァイは平静を装っていたが、少し驚いていた。
選択をするのは時間がかかると思い、会うのは明日の朝だと思っていたからだ。
「廊下は寒い…とにかく入れ。」
リヴァイは少女を部屋へ招き入れ、扉を閉めた。