鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第16章 :帰る場所〜終わりの始まり編❸〜
「リン〜目覚めたんだって〜!!」
【リンが目覚めた】
リヴァイからの嬉しい報告により、背中から聞こえる声も無視し…痛み止めを持って部屋の扉を勢いよく開けると、上半身を起き上がらせた少女がいつものように呆れ顔で呟く。
『ハンジ…うるさい。』
「リン…」
腕には痛々しく包帯が巻かれ…可愛らしい頰や額にも、大きなガーゼが貼られている。
ハンジはその全てから目を逸らさず、少女を優しく抱きしめた。
「良かった…目覚めて。本当に良かった…」
『うん…心配かけてごめん。』
少女は大人しく抱きしめられたまま、ハンジの背中をポンポンと優しく叩く。
「いいんだよ。君が目覚めてくれて、本当に嬉しいから。」
『うん…ありがとう。』
「傷はすぐ治らないらしいけど…痛みなら取り除く事が出来るから、安心していいよ。」
『そうなの?それは助かる!ハンジの痛み止め薬はよく効くから、お願いしようと思ってたんだよね〜。』
いつも生理痛の痛み止めを調合して貰ってる為、その効果は折り紙付きだ。
「何か食べてからの方が良いかな?」
『あっ、ペトラ達がお菓子を持って来てくれるって…』
コンコン
言葉の途中でノックが響く。
ハンジが開けると、そこに立っていたのはペトラとニファ…そしてその後ろにエルヴィンが居た。
「リンさん…良かった!」
「リン、よく頑張ったな。」
ペトラとニファは涙ぐみながら、少女のベッドに近付く。
エルヴィンも続けてベッド横に立った。
『心配してくれて、その…ありがとう。』
照れながら呟く。
その珍しい表情に2人は微笑み、エルヴィンは少女の頭を優しく撫でた。
『ねぇペトラ、私お腹空いちゃって…』
「ハイ!リンさんの為に、沢山お菓子用意してます。エルヴィン団長からのもありますよ!」
菓子が沢山入った籠2つを、ベッド脇のテーブルへ置いた。
『やった〜!みんな、ありがとう!』
いつものように笑顔でお菓子を頬張る少女に、4人は安堵した。
ペトラとニファがリンと話しながら、楽しそうにお茶会をしてる光景を見ながら…ハンジはふと疑問に思い首を傾げる。
「そういえば…リヴァイは?」
「一緒だったが、途中で分かれた。食堂に向かうのを見たが…」
「食堂?何しに…」