鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第16章 :帰る場所〜終わりの始まり編❸〜
リンの部屋を出たリヴァイは、クラバッドを口元に当て大きく扉を開けた。
「おい、クソメガネ!」
「リヴァイ〜丁度良い所に来たね!」
ハンジはボサボサの髪で振り向くと、ニカッと笑う。
「リンが目覚めても傷が痛まないように、痛み止め薬を作ってたんだけど…今丁度出来上がったんだ!これでいつ目覚めても…」
「リンが目覚めた。」
「えっ?!ホントに!」
「あぁ、早く持って行ってやれ。ただし静かに…」
「リン〜今行くよ〜!!」
「おい、人の話を聞け!」
走り去るハンジに向かって叫ぶが、既に姿はない。
リヴァイは舌打ちをしハンジの部屋を出ると、班員がいると思われる食堂へ向かう。
「リヴァイ兵長!」
後ろから呼び止められ、振り返るとペトラとニファがいた。
「もしかして、リンさん…」
「あぁ、さっき目覚めた。予想通り腹が減ったと言ってるから、お前たちが買った菓子を持って行ってくれ。」
「ハイ、了解です!」
ペトラとニファは嬉しそうに手を取り涙ぐむと、急いで自室に戻って行った。
リヴァイはその後ろ姿を見送り、エルヴィンの部屋へと向かった。
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「リンが目覚めた。」
「私への報告が最後とは…順番が違うんじゃないのか?リヴァイ。」
エルヴィンは物知り顔で笑い、書類から目を離すとリヴァイを見つめる。
「お前の部屋に行く途中、クソメガネの部屋があったからな…寝ずに何か作ってた奴の様子を、ただ見に行っただけだ。」
「…そうか。」
エルヴィンはフッと笑う。
「お前が用意した菓子も、さっさと持って行け。」
「バレていたか…流石だな。」
立ち上がり…菓子を入れていた引き出しを開け、籠に詰めていく。
そしてその籠を持ち、リヴァイと共に執務室を出た。
「リヴァイ…どこへ行く?」
少女のいる部屋と別の方へ向かうリヴァイに、エルヴィンは首を傾げ問いかける。
「先に行け。」
リヴァイはそう一言伝えると、そのまま1人何処かへ向かって行ったのだった。