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鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】

第16章 :帰る場所〜終わりの始まり編❸〜



『リヴァイ…』
「リン…」

不意に名前を呼ぶと、お互いの声が重なる。

『何?』
「何だ?」

返事も重なり、少女はふふっと笑う。

「先に言え。」
『いいの?』
「あぁ。」
『分かった!』


笑っていた少女が、急に真剣な表情になる。

『リヴァイ私…聞こえたの。』

「何をだ?」
(聞こえたのか?俺の告白が…)


『おなかの音…』
「あ?」
『リヴァイも聞こえちゃった?私のおなかの音!めちゃくちゃ、おなか空いてるみたい…私。仕方ないよね〜血も沢山流したし。』

(聞いてねぇな…)
勘違いだったと…リヴァイはガッカリし、溜息を吐く。

「…安心しろ。ペトラ達がお前の為に、沢山の菓子を用意してると言っていた。呼んで来るから待ってろ。」

立ち上がると同時に、少女の手を離す。

『やった〜!流石ペトラ。それでリヴァイの用事は…何?』

「…俺達の声が聞こえたと言っていたが、何と言っていたか覚えているか?」

『ん?ん〜起きろ!とか帰っておいで〜とか名前とか?』

「そうか…」
(やはりな。つまり告白は仕切り直しという事だ。)

「呼んで来るから、大人しく待ってろ。」

リヴァイは少女の頭をくしゃりと撫でると、部屋を出て行った。








『やっぱり…知ってたんだね。5年前の出来事も、あの日郷が襲撃される事も…全て。』

リンが誰もいない空間に話しかけると…白い獣がゆったりと姿を現し、ベッドの傍に座る。

[すまない。カイとルーサに口止めされていた。]

『…お母さんは【予知】してたんだ。だから私を郷から逃した…修行だって嘘ついて。』

[あれは"予知"というより"予感"だ。リトリートは元々王政から狙われていたし、何かあればあの男が関係しててもおかしくはないと。ルーサの【視る力】は弱まってる。そしてお前に引き継がれる…]

『私には何も視えない…だからカナメの事も、分からなかった。』

リンはさっきまでリヴァイと繋いでいた手で、布団をギュッと握る。

[いずれ…お前にも分かるようになる]

白い獣は空気に溶けるように、姿を消した。


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