鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第15章 : ◆◇今世から来世まで〜運命の人〜◆◇
青年に手を振り、少女は一歩踏み出す。
その瞬間…唇に優しい体温を感じ、少女を呼ぶ沢山の声が聞こえた。
「起きろ、リン!!」
「リン、帰っておいで!」
「リン…」
「リンさん…」
『リヴァイ…みんな!』
リヴァイが呼んでる…
ハンジがエルヴィンがペトラが…みんなが待ってる!
帰らなきゃ!
みんなの所へ…リヴァイの元へ!
ドアノブに手をかけると、また別の声が響く。
「お前達を最後まで守れた事が、私の誇りだ。私の分まで、強く生きなさい。」
『お父さん?』
「母さんや郷の者達、守護獣は任せたぞ!」
『うん、ありがとう…お父さん!』
「リン、---の---を探しなさい!恐らく--にいる。今のお前なら、きっと---られる。お前は--契約者の中で--だからな。」
『えっ…何?』
最後の言葉は途切れ途切れで、よく聞こえない。
けれど最後の一言だけ、ハッキリと耳に届いた。
「いつまでも、愛しているよ…」
父:カイの声はそのまま消える。
『うん、私もだよ。ありがとう…』
少女は扉を開けた。
すると白い空間に光が溢れていき…
「リン…」
リヴァイの祈るような声が聞こえ、少女の意識は覚醒した。
握る指先がピクリと動き、リヴァイはハッと顔を上げ叫ぶ。
「リン!?」
『リ…ヴァイ…ただ…いま。』
「あぁ…おかえり。よく頑張ったな。」
リヴァイは少女の手を優しく握り口元を緩ませると、頭を優しく何度も撫でた。
少女の身体から流れる続ける血は、完全に止まっていた。