鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第15章 : ◆◇今世から来世まで〜運命の人〜◆◇
光の橋を渡ると、扉が見えて来る。
その扉の前に誰かが立っていた。
『えっ?!もしかして…』
「よぉ久しぶりだな、リン!」
『ファーラン!どうして…』
「見送りに来た。」
7年前より大人になった男が、ニカッと笑った。
『あの時は、助けてくれてありがとう!』
「そうだよ、せっかく助けたのに…お前さっき、死にたいって思っただろ?」
『思ってないよ。ただ…生きてていいのかなって。』
「お前は生きろ!お前を待ってる奴の元へ帰れ。あいつをこれ以上…悲しませないでくれ。」
『あいつ…』
「7年前に言ったろ?俺の自慢の仲間で…家族だ。目つきも悪いし粗暴で酷い潔癖症、だけど仲間思いで優しく孤独な男だ。」
『………。』
「あの時…お前の無くした鈴を見つけたのは、あいつだよ。東洋人にしか聞こえない筈の鈴の音が、何故かあいつだけには聞こえたんだ。」
『……えっ?』
リンは目を見開き、ファーランの瞳を凝視する。
「正に運命ってやつだな!あいつにはお前が必要だ。だから頼むから…これからもあいつの側にいてやって欲しい。お前ならこれからも、一緒に生きて行ける筈だ。」
『でも…』
「俺の【願い】叶えてくれるんだろ?俺たちはもう側にいられないから…お前が替わりに側にいてくれ、チビ助。それが俺の【願い】だ!」
懐かしい呼び方で頭を撫でられ、少女は口元を緩める。
『うん、分かった!』
「あとこれ…俺の宝物だったけど、お前に返す。この石はあいつの瞳の色と一緒だし…俺の形見として、あいつに渡して欲しい。」
ファーランは7年前別れ際に少女が渡したペンダントを、静かに手の上に乗せた。
『うん。』
「よし、戻れ!この扉に入れば、あいつの元に戻れる。…あいつを頼むな!俺の親友で大切な家族の----を…」