鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第14章 :無知は罪〜終わりの始まり編❷〜
「やっぱり…呪具にも気付いたんだね。それとも獣たちが、泣きついて来た?」
呪具で封印した筈の雷刀を見て、ため息を吐く。
『貴方は私の大切なものを、沢山奪った…絶対に許せない!』
リンはカナメの呟きを流し、刀を強く握る。
「でも…君の無知も罪だと思うよ?まぁ俺は君のその無知さも、愛してるけど。」
『…確かに私は沢山の人に守られ、大切にされてた事に気付けなかった。でもだからこそ、貴方は必ず私が止める!!』
「別にいいけど…俺は君の大切なものを、あと2つ手中に収めてるよ。」
『2つ…?』
「君がずっと、探していたものだよ。」
[マスター!!]
ライキの声と同時に、一陣の風が吹き…風の狼:フェイがカナメの横に姿を現わす。
しかしいつもと様子が違い…禍々しい気を発している。
『フェイ!!どうして此処に?』
「俺が襲撃の際、捕らえておいた。そして君の親友、マナ・クラウディアも。」
『えっ…』
「マナはリン以外で、俺と普通に接してくれた子だし俺の友人でもあるから…殺すのは惜しくてね。それにリンもマナが居た方が、嬉しいだろ?」
『マナは…何処?』
「この近くにいるよ。彼女も色々、役に立ってくれてる。」
カナメは笑顔でそう答えるだけで、具体的な居場所は教えてくれない。
「ねぇリン…俺と取引きをしよう!君に2つの選択肢を与える。家族・友人・守護獣・調査兵団、全て捨てて俺とマナの3人で生きるか…フェイと戦い、自分の力でフェイとマナを取り戻すか。」
『そんなの…自分で取り戻すに決まってる!!』
「そう…でもこの獣は今、君の知ってる奴と違うよ?俺の呪具で操られた術者によって、縛られているから…君の声も届かない。どうする?」
『それでも…取り戻してみせる、必ず!!』
(フェイ…マナ…必ず助ける!)
リンは刀を構え直すと、戦闘態勢に入る。
[マスター待て!ダメだ、戦うな!]
『ライキ?』
[今のフェイは制御不能だ。そして契約前の守護獣から受けた傷は…]
ライキの言葉を遮り…風の刃が少女の頬・両腕を切り裂き、血が滴り落ちる。
しかもいつものように、傷は消えない。
『痛ッ?!何…なんで?』
[我らにも治せない…]