鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第14章 :無知は罪〜終わりの始まり編❷〜
「マナ〜今日リン見てないんだけど、どうしたか知らないか?」
1人花を摘む少女に、カナメは近付き話しかける。
「今日はカイ様と街へ行ってるから、夕方まで戻らないと思う。」
「そっか〜。何かいつも一緒にいるから、側にいないと落ち着かないよな。」
「そう…だね。」
マナはカナメをチラリと見ると、口を開いた。
「カナメ兄は…どうしてそんなに、リンにこだわるの?」
「あの子は…俺の心を救ってくれたから、特別なんだ。俺さ…いつかこの郷でリンを俺の嫁にして、守って行きたいんだ。それで…」
「あなたには無理よ。」
突然2人の後ろから声が聞こえ、振り返ると…マナの母:マリアが立っていた。
「お母さん?」
「無理?」
「結婚だなんて…ありえないわ!姫様は特別な力を持って生まれた、純血の東洋人よ。そして私達の守り神、唯一の後継者。あなたのような出自不明の東洋人を、カイ様とルーサ様が許すわけないでしょう?」
「分かってる。だから俺は皆に認めて貰いたくて…」
「それにあなた…本当は姫様以外、どうでもいいでしょ?あなたはいつも、私たちを蔑んだ眼で見ている。」
「それはあんた達がッ」
「誰も認めるわけがないのよ…。マナ、ルーサ様がお呼びよ。」
「うん…分かった。」
マナは後ろ髪を引かれる思いで、いつもと様子の違う母親の後を追いかける。
「お前達が…俺を蔑み疎むから、その分俺は努力して来た。それさえも認めないのか?」
カナメは2つの後ろ姿を追いかけるように、声を張り上げる。
「…残念だけど、努力でどうにかなる問題ではないわ。」
「…ふざけるな。」
(オモイダセ…)
カナメの頭に中に誰かの声が響き、頭痛がしてくる。
「お前たちのような下等な人間に、評価されたくない!」
(オモイダセ オマエノ シメイヲ…)
「リンは…俺のものだ!!」
(カクセイ セヨ!)
カナメが叫んだ瞬間、身体の周りに黒い靄が現れ…紋章が額に浮かび上がった。