鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第2章 :守護獣と心の傷
3人同じ事を思っていたが、敢えて口には出さない。
リヴァイは食後のお茶を持ち、さりげなく空いてるモブリットの目の前に静かに座る。
「…ライキくんだっけ?あの子が身体にいるだけで、そんなにエネルギー使うの?」
『まぁ…ライキだけじゃないし。』
「えっ?何体もいるの?」
『今は2体。あと1体契約する。』
「3体も?!凄いね〜じゃあ今リンの身体の中には、2本の刀が…ムフフ、興味深いね!解剖したい…」
ニマニマ笑い何か想像してるハンジに、リンは呆れ顔で立ち上がり見つめる。
『言っとくけどあの姿…本体じゃないから。』
「えっ、そうなの?つまり…どういう事?」
『刀は私のイメージで形成した姿。本体は…動物の姿をしてる。』
「動物?」
『ライキは雷属性の白い大きな虎、レイは焔属性の紅い大きな鳥。』
「…大きな虎と鳥?」
『虎と鳥、知らない…とか?』
「いや…虎は本で見た事あるし、鳥は普通に飛んでるよ。ただ大きなって言われると…サイズが気になるね〜。」
『そっか……見る?』
チラリと見ると、興奮し蒸気した顔のハンジと目が合う。
「見たい!!めちゃくちゃ見たいぜぇぇぇ〜!!」
ハンジはバンッとテーブルを叩き立ち上がると、大声で叫びながらリンの両腕を掴む。
食堂にいた数名の兵士達の肩がビクッと震え、全員こちらに注目する。
「うるせぇな、食事の時くらい静かにしろ!埃も立てるな!」
「なんだよ〜リヴァイだって見たいくせに!エルヴィンも絶対見たいって言うと思うんだ!呼んで来てもいい?」
『いいけど…兵舎じゃ無理。外がいいと思う。』
「分かった!エルヴィンに聞いて来る!」
食べ終えた食器も片付けず、駆け足で食堂を出て行った。
「あのクソメガネ…」
リンは小さくため息を吐くと、静かに自分の席に戻り…自分とハンジの食器を一緒にトレイに乗せ返却する。
そして食堂を出て一旦自室に戻ろうとしたところで、またリヴァイに呼び止められる。
「オイ、リン。あとで籠を持って行ってやるから、その中に菓子を入れろ。いいな?」
『分かった。』
素直に頷き、いつの間にか後ろにいたリヴァイと共に、食堂を出て行った。
「あぁ分隊長、仕事…」
モブリットは仕事が更に滞る事に絶望し、テーブルに突っ伏したのだった。