鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第14章 :無知は罪〜終わりの始まり編❷〜
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〜出発前:兵門〜
「リン、本当に私達同行しなくて大丈夫?」
『だから〜今回はライキがいるから大丈夫!それにこれは、私達一族の問題だから…。夕飯までに帰るから待ってて!も〜リヴァイも、そんなに眉間に皺寄せないで。』
エルヴィン・リヴァイ・ハンジに見送られながら、少女は苦笑する。
「…戻って来るんだな?」
『うん!カナメときちんと話をして戻るよ。フェイが本当にユトピア区に居るか分からないけど、探しに行くのは一度此処に戻ってからにするから。』
リヴァイに笑顔で答える。
「気をつけるんだぞ?何かあったら、すぐに戻って来なさい。」
エルヴィンは少女の頭を、いつものように優しく撫でた。
『うん!…私ね【行ってきます】って出かけて【おかえり】って迎えてくれる場所がある事が、凄く嬉しいの!だから帰って来たらちゃんと【おかえり】って言ってね。じゃあ…行って来ます!』
「あぁ。」
「気を付けてね。行ってらっしゃい!」
「気を付けて。」
少女は笑顔で手をブンブン振り、その場から消えた。
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「リン!!」
リヴァイが駆けつけると、少女の周りに血溜まりが出来ていた。
傍に膝をつき抱き起こすが…血まみれの腕は力なくダラリと垂れ、ピクリとも動かない。
よく見ると顔・腕・腹部・足など数ヶ所に、鋭利な刃物で切られたような傷が見える。
「雷獣…これは一体、どういう状況だ!」
リヴァイが鋭い眼でライキにそう問いかけたと同時に、後ろから足音が聞こえ振り返る。
「兵長!何かあった…えっ?!リン…さん?」
リヴァイの腕の中で、見知った少女が血まみれでぐったりしており…ペトラは目を見開く。
「ペトラ!すぐに医務室に空きベッドを用意し、治療の準備をしろ!その後医務室にエルヴィンとハンジを呼べ!」
「…ッ、了解しました!」
呆然としていたペトラだったが…リヴァイの命令を受け敬礼をすると、急いで兵舎に戻って行った。
「この傷は…治せねぇんだな?例の"イレギュラー"で。」
〔そうだ。この傷を治せるのは、傷付けた本人だけだ。〕
「チッ…クソが!」
リヴァイは舌打ちし少女を抱き上げると…傷に響かないよう速足で、医務室へ向かったのだった。