鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第14章 :無知は罪〜終わりの始まり編❷〜
ー リヴァイ執務室 ー
書類の山をひと通り片付け…リヴァイは目を閉じ椅子に深く腰かけると、ため息を吐いた。
書類に目を通してる間もリンの事が頭から離れず、度々手を止めてしまっていた為…いつもより時間が経っていた事に気付く。
(今回は雷獣が付いてるから問題ねぇ筈だが、昨日からずっと嫌な予感が消えねぇ。)
リヴァイは半分開いた窓から、今にも雨が降り出しそうな曇天を見つめた。
(アイツが出かけてから、どれくらい経ったか?)
落ち着かず、お茶でも飲もうと思っていると…
コンコン
「入れ。」
ノックの後に入って来たのは、ティーセットを持ったペトラだった。
「兵長、少し休憩しませんか?私が淹れたお茶で申し訳ありませんが、リンさんから茶葉を預かっていたんです。」
ポットを開けると…柑橘系の爽やかな香りが、部屋に充満する。
「あぁ、貰おう。」
リヴァイは眉間の皺を緩め、ペトラが置いたカップに口を付ける。
(やはり落ち着くな…)
この茶葉はリラックス効果があると、以前少女に淹れて貰い…リヴァイのお気に入りの1つだった。
(本当にアイツは…人の心配より、自分の心配をしろ。)
少しだけ口元が緩む。
「雨…降りそうですね。窓閉めますか?」
「いや……ッ?!」
ゾワりと鳥肌が立ち…鉄のような臭いが風に乗って、窓から入って来る。
(何だ?!)
生臭く、地下街や壁外で嗅いだ事のある臭い…
同時に小さく鈴の音も聞こえ…リヴァイは咄嗟に、2階の窓から木を伝い飛び降りた。
(まさか…リン!!)
「兵長?!」
突然飛び降りたリヴァイにビックリしたペトラだったが…同じ臭いを感じ、慌ててリヴァイの後を追う。
リヴァイが兵門に駆けつけると…
白い獣が紅く染まり佇んでいる。
そしてその傍らには…
真っ白い服が真紅に染まった、
少女が倒れていたーーー