鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第13章 : ◆◇ 心の拠り所〜側にいて欲しい〜 ◆◇
私服に着替えたリヴァイは、リンを探しに街へ来ていた。
少女がいつも行くカフェや菓子屋に行ってみたが、既に帰った後で中々本人に遭遇しない。
(カフェにも菓子屋にもいねぇ。あいつ…一体何処行きやがった!鈴の音でも聴こえれば、場所が分かるんだがな。)
そう思った矢先…風に乗って小さな鈴の音が、リヴァイの耳に響く。
(壁の上か?)
リヴァイは急いで壁に向かった。
壁の淵で足をプラプラしながら座り、菓子を頬張る少女を見つけ…リヴァイはその背中に話しかける。
「こんな所で何してやがる?」
『あっ、リヴァイ!こんな所までどうしたの?』
「どうしたの?じゃねぇ。勝手にいなくなるな!」
『探してくれたの?』
「あぁ、探した。」
珍しく素直に答え、少女の横に立つ。
「……邪魔したか?」
『リヴァイならいいよ。』
そう言って、少女は自分の横をポンポンと叩く。
リヴァイはそのまま静かに、少女の横に座った。
風が…2人の黒髪を揺らす。
少女の髪が揺れる度、髪の毛の鈴もリリリと鳴る。
「…真実を知るのが怖いか?」
『うん怖い、凄く怖いよ…。カナメを信じたいのに、今は疑う要素しかない。』
リヴァイはリンの震える手を、横からギュッと握る。
『1人で考えたくてここに来たのに…1人でいると心細くて、悪い事ばっかり考えちゃう。だからリヴァイが私を見つけてくれて…今こうして私の側にいてくれる事が、凄く嬉しいの。ありがとう!』
満面の笑みでリヴァイを見つめ、少女の手を握るリヴァイの手を握り返した。
「そうか…。」
リヴァイはそう一言呟き、口元を緩ませた。
そして2人はそのまま暫く壁の上で手を繋いだまま、沈む夕陽を眺めていた。