鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第13章 : ◆◇ 心の拠り所〜側にいて欲しい〜 ◆◇
ハンジはリンが同郷の男から貰った、呪具ペンダントを預かっていた。
呪力は少女の力によって、既に消失している。
昨夜エルヴィンの部屋で見たペンダントと同じ物だと思えない程、禍々しい光は消え…ただの石にしか見えない。
(あの時は確か…黒い靄も出てた。でも今は何もないな。)
呪力を消失させるには相当エネルギーを使うらしく、守護獣達はリンにそれをさせるのを反対していた。
しかし少女は昨夜その反対を押し切り、1人で執行し見事呪力を消失させて見せたのだ。
ペンダントの呪力は少女を守る為の物だった為、力の反射もなく消失したが…エネルギー切れを起こした本人はそのまま事切れ、リヴァイが抱き上げ自室に運び未だ深い眠りについている。
預かったペンダントを明かりに翳してみると、石の中に紋章のようなものが見えた。
「何の紋章?」
この紋章が呪力に関係してるのか?
力が消失した今では、もう分からない。
呪力を消す前にもっと観察させて貰えば良かったと、今更ハンジは後悔する。
(彼が兵舎に来てくれれば、聞けるかもしれないけど…無理だろうなぁ。)
ハンジはもう一度石を見つめ、深くため息を吐いた。