鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
「あの!もし良ければ…握手をしてくれませんか?」
『握手?』
なぜ握手を?と疑問に思ったが、先ほどの男の顔がチラつき…リンはおずおずと手を差し出した。
「ありがとうございます!!」
男は喜び、少女の小さな手を両手で握る。
そして何故か、なかなか離してくれない。
『あの…』
「リンさんの手って、小さくて可愛いんですね!やっぱり兵士の手とは全然違うなぁ…」
そう言って手を持ち上げたり眺めながら、更に強く握る。
(何か変…。リヴァイと繋いだ時と、全然違う!)
『離して!』
やっと男のおかしさに気付き、手を振り解こうするが…逆に男に引き寄せられてしまう。
その反動で、リンの身体は男の胸元に入る。
「わぁ〜!やっぱり身体も小さいんですね!それに柔らかくて、良い匂いがします。…女兵士は筋肉質で硬くて、抱き心地悪いんですよね〜。」
男はリンを抱きしめながら、身体中を触っている。
(…イヤ…怖い。ライキ…リヴァイ…)
『イヤァァァァ〜!!』
叫びと共に少女の周りに黄金の光が溢れ、男を弾き飛ばした。
「うわぁぁ〜!」
男は凄い勢いで壁に激突し、そのまま動かなくなる。
(どうしよう…私今、人を殺したの?制御出来ない、この力で私は人を…)
先ほどの恐怖より、自分の力で人を殺してしまったかもしれない恐怖の方が勝り…身体が震える。
(ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい!!)
「リン!!」
リヴァイが駆け付けた時には…少女はへたり込み、呆然としていた。
「リン、何があった?」
リヴァイは少女の傍に片膝を折り、優しく頭を撫でながら耳元で囁く。
ハッと顔を上げると…リヴァイの心配そうな顔が目に映る。
『リ…ヴァイ?リヴァイ!!』
リンはリヴァイの首に飛びつき、それを抱き止める。
『リヴァイ…どうしよう!今…私の力で…人を殺した!』
「殺した?」
リヴァイのすぐ後から駆け付けたハンジが、壁の前に倒れている男を診て首を振る。
「死んでない、気絶してるだけだよ。」
「だとよ。あいつは死んでない。お前は殺してない。大丈夫だ…」
抱きしめながら、優しく頭を撫で続ける。
『うん…』
そう一言呟くと、そのままリヴァイに縋り泣いたのだった。