鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
「追放?!」
エルヴィンとハンジは驚き、声を揃える。
「詳しく話せ!」
リヴァイは冷静を装いながら、ライキの言葉の続きを待つ。
〔郷の証である鈴はそこに暮らす者なら、生まれた時から必ず所持している。10になる頃には自身の身体に定着し…以降は例え紛失しても、必ず本人の手元に戻る。証を持っていない者は、死亡したか追放された者だけ。つまり証を紛失するなど、ありえんのだ!〕
「つまり嘘を付いていると?」
〔あぁ。〕
「で…でも彼はリンの、親公認の婚約者でしょ?なぜそんな嘘をつく必要が?」
ハンジは殺気に怯えながらも、雷獣に問いかける。
〔婚約者?〕
ライキは更に鼻で笑う。
〔ありえんな。何故ならあの男を追放したのが、リンの母親だからだ。〕
「えっ?!じゃあ…全てが嘘?」
〔あの男は昔から、リンに執着し過ぎている。あの子を手に入れる為なら平気で嘘も付くし、気配も装える。他がどうなっても興味がない。…我らはあの男が郷の襲撃にも関わっていると、確信している。〕
「クソが…」
(何が【心を守る】だ!俺が一緒にいながら、この体たらく…。やはり怪しいと感じた時、警戒するべきだった。)
リヴァイは自分自身と、カナメに対しての怒りを露わにし…強く拳を握り締めた。
爪が手のひらに食い込み、血が床に滴り落ちる。
「そんな…」
(彼を信じて着いて行くと決めた、リンが可哀想じゃないか!!)
ハンジは顔を歪ませ俯く。
〔しかもあの男…呪術に完全に手を染め、リンに何かの呪具を渡している。そのせいで我ら守護獣は、リンの側に寄る事が出来ず…身を守れない。〕
「呪具…?」
エルヴィンは静かに呟き、ライキを見つめる。
〔あぁ、自分(カナメ)以外を遠ざける呪具だ。今効果は我らだけだが、そのうちお前達も近付けなくなる。…早くアレを見つけて壊せ!〕
「分かったよ、手分けしてリンを探して…」
イヤァァァァ〜!!
遠くで少女の悲鳴が聞こえた。
誰の悲鳴かすぐに察したリヴァイは、真っ先に執務室を出て…声の聞こえた方へ走り出したのだった。