鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
リンがハンジを連れ、エルヴィンの部屋に行くと…リヴァイが足を組み長椅子で紅茶を飲んでいた。
「やぁリン、何か話があるそうだね。まずは座って、お茶とお菓子で寛ぐといい。」
エルヴィンはリヴァイが座る長椅子前のテーブルに、リンの茶と菓子を乗せ座る事を促す。
リンもリヴァイの横に素直に座り、ハンジは窓付近の椅子に座った。
暫く無言で菓子を食べていた少女は、やっと口を開く。
『私…2日後に、この兵舎を出る。短い間だったけど、お世話になりました!』
「えっ…」
「あ"?」
「はぁ〜〜〜?!」
座ったままペコリとお辞儀をするリンを、エルヴィン・リヴァイ・ハンジは凝視し…それぞれ声をあげた。
「…随分と急だな。何かあったのか?」
エルヴィンは少女を見つめる。
『今日、同郷の幼馴染に会ったの。それでその人がフェイの情報を持ってて、一緒に探しに行こうって話になって…私着いて行く事にしたの。』
「えっ?ちょっ…ちょっと待って!まさかさっき言ってた話?だってあの事は…ゆっくり考えるんでしょ?」
ハンジは立ち上がり、少女を凝視して返事を待つ。
『そうだよ。だから一緒に旅したら、気持ちに変化があるかもしれないでしょ?』
「おい…」
紅茶を一口飲み、また菓子を口に放り込む。
「でも…でもさ〜5年も会ってなかった人と旅をするなんて、ちょっと無謀だよ?そんな人と本当に…」
「てめぇら…」
隣の視線を痛いくらい感じるが、少女は華麗にスルーする。
『大丈夫だよ。元々カナメは私の初恋みたいな人だし、きっと…』
「おい!てめぇら、無視すんじゃねぇ!…さっきの話って、何の事だ?」
2人の間に挟まれ…無視され続けたリヴァイは痺れを切らし、テーブル裏をドンっと蹴る。
するとテーブルにあったリンのカップは倒れ、紅茶が皿の菓子にかかり少女は悲鳴を上げた。
『ちょっとリヴァイ、何するのよ!』
布巾で濡れたテーブルを拭き…紅茶で濡れた菓子を、1つずつスプーンで掬い上げ口に含む。
「結局口に入れるなら、濡れても別に構わねぇだろ!それより…お前が秘密にしてる事を、全て話せ!」
『ヤダ。』
「あ"?」
ギロリとリンを睨むがプイと視線を外し、黙々と菓子を掬う作業に没頭する。