鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
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「遅い!テメェ…俺を待たせておいて、長話し過ぎだ。」
リヴァイは2杯目のポットからカップにお茶を注ぎ、テーブル前に立ち尽くす少女を見上げる。
「あ?その顔はなんだ?クソが詰まったような顔しやがって。…ッ?!お前…何かあったのか?」
様子が変だとすぐに察したリヴァイは、少女を目の前の椅子に座らせ…ジッと見つめる。
『うん…』
「あの男に何か言われたのか?」
『うん…』
「何を言われた?」
『うん…』
何を聞いても、同じ返事しか返って来ず…完全に上の空だ。
リヴァイは少し苛立ちながら立ち上がり、隣のテーブルにあった椅子をリンの隣に引き寄せると…ドカリと座る。
「リン、何があった?話せ!」
『ん……あれ…リヴァイ?…私、いつここに来た?』
「は?何言って…」
『待たせてごめんね!お詫びにここの会計、全部私が持つね。おじさ〜ん、私新作のケーキ食べたい!』
一瞬の内にいつもの少女に戻り、リヴァイは困惑し深いため息を吐いた。
そして注文したケーキを口に頬張った少女に、もう一度話しかける。
「リン…あの男と一体、何を話した?」
『ん〜美味しい!…リヴァイには、関係ないことだよ。』
横目でリヴァイを見ると、チロっと舌を出した。
「あ"?てめぇ…人を待たせておいてその態度、いい度胸だな。」
リヴァイは立ち上がりリンの頭をガシッと掴むと、左右から拳で挟んだ。
『痛い、痛〜い〜!!嘘、嘘〜分かった、話す〜話すから!…でも何か色んな事いっぺんに言われて、今混乱してるから…整理するまでちょっと待って。』
「チッ…仕方ねぇ、待ってやる。だが俺はそう気が長くない。今日中に必ず話せ!」
『うん、分かった!ねぇリヴァイ、その紅茶美味しいでしょ?』
「…あぁ、悪くねぇ。」
リヴァイは楽しそうに笑うリンにそう答えたが、先ほどの表情が頭から離れないままだった。