鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
噴水前のベンチに2人で座り、話し始めた。
「ところで…どうしてリンが、調査兵団の兵士長と歩いてたんだ?しかも2人で出かけるほど、仲いいなんて…」
『うん、仲良しだよ〜!私今調査兵団の兵舎に住んでるの。』
「えっ?!何で…」
『色々あってね〜。最初は成り行きだったけど、今は友達も沢山出来て楽しいよ!』
少女は嬉しそうに、ふわりと笑う。
「…そうか。それで?郷のみんなは元気か?」
『郷は…』
リンは数ヶ月前に起きた郷の実状を、カナメに話して聞かせた。
「そうか…大変だったな。そんな時に、側に居られなくてごめん。…それで今は新しい郷に続く扉を開く為に、フェイを探してるんだな。」
カナメは優しく少女の頭を撫でた。
『え?…うん。でも何の手がかりも無くて…。』
一瞬違和感を覚えたが、何か分からず素直に頷く。
「じゃあやっぱり…あれはフェイの目撃情報かもな。」
『情報があるの?』
「あぁ、北のユトピア区に風が渦巻く山がある…最近そういう噂があるらしい。」
『そう…なんだ。』
「そうだ!せっかく会えたんだし…一緒にフェイを探しに、ユトピア区に行こう!リンが一緒に来た方が、フェイも大人しく来るかもしれないし。」
カナメは突然立ち上がり、嬉しそうにリンを見つめながら口を開く。
『えっ…今から?』
「情報を聞いて数日経ってるし、早い方がいいけど…友人達にきちんと別れの挨拶はしたいよな。だから…2日後にこの噴水前で、また今日と同じ時間に会おう!」
『明後日…』
「どうした?あまり気乗りしない感じだな。」
『急過ぎるから…』
「でもフェイを見つけたら、兵舎は出るつもりだったんだろ?」
『そう…だけど。』
「フェイを見つけて戻って来たら、また会えるさ。」
『うん…』
(何でこんなに、モヤモヤするんだろう?確かに元々フェイが見つかったら、あそこを出るつもりだった。なのに…どうして?)
「じゃあ、また明後日な!」
『うん。』
「あっ、そうだ…リン!お前【約束】を覚えているか?俺たちはーーー」
カナメは去ろうとした少女を引き寄せ、耳元である言葉を囁く。
『………えっ?』
別れ際に聞いた言葉が耳の奥で木霊し…リンはその場に立ち尽くしたのだった。