鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
「知り合いか?」
リヴァイは自分の背に隠したまま、少女に問いかける。
『えっと…』
恐る恐るリヴァイの背から出ると、リンは目の前の男を見上げた。
「まぁ5年ぶりだし…無理もないか。じゃあカナ兄(にぃ)って言えば、分かるか?」
『カナにぃ…?』
言葉にした瞬間…幼馴染の兄的存在、カナメの姿が蘇る。
『えっ…カナ兄(にぃ)?!カナにぃ〜!!』
やっと思い出したリンは、勢いよくカナメの首に飛びつく。
青年:カナメも嬉しそうに受け止め、抱きしめた。
あの時感じた怖さは、何故か消えている。
「随分薄情に育ったんだな、姫様?」
カナメは抱きしめてた少女の身体を離し、悪戯っぽく笑う。
『あ〜昔郷でそう呼ばれてたね!それよりカナにぃこそ…私が留守の時に旅に出るなんて酷いよ!しかも3年で帰る筈だったのに…5年もどこにいたの?』
「悪い悪い!鈴を無くしてさ〜郷の場所が、分からなくなったんだ。」
少女の頭を、優しくポンポンと撫でた。
『そうなんだ…。あ、ごめん!自己紹介がまだだったね!彼はカナメ。同郷の幼馴染なの。それで…』
「調査兵団のリヴァイ兵士長…ですよね?」
紹介しようとリンがリヴァイの隣に立つが、先にカナメが口を開き驚く。
『えっ?何でカナにぃ、リヴァイの事知ってるの?』
「この壁内に生きてて…彼を知らないのは、郷の箱入り姫様だったリンだけだよ。」
『リヴァイって、そんなに有名人だったんだね!何で教えてくれなかったの?』
「別に…知らないなら、わざわざ教える必要はない。」
リヴァイは何故か不機嫌そうに、少女を見下ろした。
「ところでリン、久しぶりに会ったからもう少し話をしたいんだけど…ダメかな?」
『あ、でも…』
リヴァイを見るとすぐに察し…
「俺は先に行ってる。お前は後から来い。」
『ありがとう!場所はいつもリヴァイが掃除用具買うお店の、2軒隣だよ〜!』
リヴァイは了解したとばかりに片手を軽く上げ、店に向かったのだった。
(リンの抱きつく癖は昔からか?チッ…面白くねぇ。だが最初に感じた異様な気配は…一体何だ?)