鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
【人類最強】の調査兵団:兵士長にこんな表情をさせられるのは、この少女1人だけだったが…本人は全く気付いていない。
「で?何処に行くんだ?」
『前に私がお土産で、紅茶のマフィンを買って行ったの覚えてる?あそこの店で新作のお菓子と紅茶セットを出す予定で、その試食を頼まれてるの。』
「ほぉ…そうか。菓子に興味はないが、丁度茶を飲もうとしてた所だ…付き合ってやる。」
『ありがとう!』
少女が動くと髪がふわりと舞い…髪の毛の花香りと共に、小さな金色の鈴もチリンと鳴る。
小さな音だが、リヴァイの耳にはしっかり届いている。
心地よい音だと…リヴァイはとても気に入っていた。
チリリリリン…
リリリリ…
髪の毛が揺れる度、鈴も揺れる。
「その鈴…本当に東洋人にしか、聞こえねぇのか?」
『そのはずなんだけど…リヴァイの耳は、特別製なのかもね!あっでも昔、1人だけ聞こえた人がいた…』
「そうなのか?」
『9才くらいの時に、鈴を落とした事があって…それを見つけてくれた人が、音が聞こえたから分かったって言ってたんだって。顔は知らないけど…東洋人じゃないはず。』
「そうか。」
(俺の他にも聞こえる奴がいるのか…)
リヴァイは密かにチッと、舌打ちをした。
ふと…自分達の付近で異様な気配を感じ、リヴァイは立ち止まる。
繋いでいた手を引かれ、リンも立ち止まった。
『どうしたの?リヴァイ…』
不思議そうに見つめる少女の腕を強く引き、リヴァイは咄嗟に自分の後ろに隠す。
「リン?」
『えっ?』
立ち止まっていた見知らぬ人間に突然名前を呼ばれ、リヴァイの背中から顔を出す。
「リン…やっと見つけた!」
その者はフードを外し、少女を見つめる。
見知らぬ男のように見えた。
しかしこの男は自分を知ってる。
そして何となく…恐怖を感じた。
『…誰?』
その男との出会いが、
少女の求めた【真実の始まり】だった…