鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第12章 :運命の再会〜終わりの始まり編❶〜
静かな執務室で、紙をめくる音が響く。
久しぶりに誰の邪魔もなく仕事が進み、リヴァイは安堵する。
しかし不思議なもので…静か過ぎるのも落ち着かない。
そんな気持ちを感じるようになったのも、あの少女が来てからだった。
(そろそろアイツを構ってやるか…)
立ち上がり窓下を見ると、今まさに会いに行こうと思っていた少女が歩いていた。
リヴァイは書類を飛ばないように纏め、窓を開け放つ。
「おいリン!何処へ行く?」
『あっ、リヴァ〜イ!街に出かけて来るね〜!』
細く白い腕で大きく手を振り、少女はニッコリ笑った。
「俺も行くから、少し待て!」
『えっ?リヴァイ、仕事終わったの?』
「ひと段落ついた。」
『そっか〜分かった、待ってるね!』
返事と共に白いワンピースが揺れる。
リヴァイはその光景に、フッと口元を緩めた。
優しい風が吹く、穏やかな午後。
まるでここは巨人達が生息する、囲いの中だと思えない程に…。
リヴァイは窓を閉めると素早く私服に着替え、静かに執務室を出た。
「そんな格好で、1人で出歩くんじゃねぇ!俺に声かけろって言っただろうが。」
『でもライキも一緒だし…忙しそうだったからお土産だけ買って帰ろうって、思ってたんだよ?』
「それはいい心がけだが…俺が手の空いた時は、一緒に茶を飲め。」
『うん、分かった!』
少女は嬉しそうにふふっと笑う。
『そういえば…どうしてライキ達を置いて来たの?』
「別に。俺が一緒なら、必要ねぇだろ?」
『ん〜そうだね。リヴァイ兵士長は【人類最強】だもんね!』
少女は人差し指を立て揶揄うように笑うと、上目遣いでリヴァイを見た。
(…せっかく2人きりになれたのに、獣がいたら落ち着かねぇ。)
「いいからほら…手繋げ。お前は目を離すとすぐ、何処かに行くからな。」
リヴァイはリンに手を差し出した。
『うん!』
それを嬉しそうに握る少女を見て、また口元が緩んだ。